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BtoBマーケティングファネル完全ガイド!設計から改善までワーク付きで徹底解説
最終更新日 2025年7月2日(Wed)
記事作成日 2025年7月2日(Wed)
BtoBマーケティングにおいて、「ファネル設計の重要性は理解しているが、具体的に自社にどう適用すればよいか分からない」と感じたことはありませんか?
BtoBビジネスでは、認知から購入までのプロセスが長く、顧客行動が複雑化しがちです。
そのため、教科書通りのファネルをただ眺めるだけでは、成果に直結させられません。
この記事では、BtoB向けのマーケティングファネルを、基礎から実践までわかりやすく整理しました。自社の状況を可視化するためのワークもご用意しましたので、ファネルの改善にぜひお役立てください。
目次
そもそも「マーケティングファネル」とは?
マーケティングファネルとは、顧客が商品やサービスを知ってから購入に至るまでのプロセスを段階的に示したフレームワークであり、適切なアプローチを行うために重要です。
まずファネルの基本構造を整理し、BtoC(個人向け)とBtoB(法人向け)で運用にどのような違いが生まれるのかを解説します。
ファネル=顧客の行動段階を可視化するフレームワーク
マーケティングファネルとは、顧客が商品やサービスを知ってから、最終的に買ったり使い続けたりするまでの道のりを、わかりやすく段階に分けたものです。
最初はたくさんの人に知ってもらえても、そこから興味を持つ人、真剣に比べる人、実際に買う人…と、進むにつれて人数は段々と減っていきます。
図で表すと漏斗(ろうと)に似ていることから「ファネル」と呼ばれています。
顧客は商品を知った瞬間に一気に購入するのではなく、段階ごとに感情や行動を変化させながら、徐々に購買に向かっていくという、マーケティングファネルの大枠をまずはつかんでおきましょう。
ToCとToBでファネルの中身はどう違う?
ファネルの基本構造は、BtoC(個人向け)でもBtoB(法人向け)でも大きくは変わりません。「認知→興味・関心→比較・検討→購入」という流れ自体は共通しています。
しかし、BtoBマーケティングでは、検討から購入にかけてのプロセスが圧倒的に複雑になるという決定的な違いがあります。
ToC(個人向け)では、興味を持った本人がすぐに購入を決められることが多く、検討と購入の間に大きなハードルはあまりありません。
一方でBtoB(法人向け)では、
- 顧客・自社ともに社内の稟議・承認フローがある
- 価格交渉や契約条件のすり合わせが発生
- 決裁権を持つ人の納得を得なければならない
など、1人の興味・検討だけでは購買が成立しないケースがほとんどです。
顧客も自社も、担当者が社内の関係者を巻き込みながら検討を進めるため、ファネルの「検討」以降にかかるエネルギーが大きくなります。
マーケティングファネルは古いのか?
近年、「マーケティングファネルは時代遅れ」との意見もあります。ですが、顧客の行動を段階的に可視化し、適切なアプローチを行うためのフレームワークとして、依然として有効です。
たとえば、
- いきなり比較・検討から入る
- 興味フェーズを飛ばして購入に至る
- 成約済みの人が新たな認知を広げてくれる
など、従来型のファネルにとらわれない動きもあるでしょう。
しかし、ファネルの考え方自体が無意味になったわけではありません。
マーケティングファネルとは本来、「顧客の行動を段階ごとに整理し、適切なタイミングで適切なアプローチをするためのフレームワーク」です。
現代の複雑な購買行動を踏まえたとしても、行動の流れを可視化し、どこに課題があるかを見つけるという目的は変わりません。
特にむしろBtoB領域では、「段階をきっちり進む必要がある購買行動」が基本。ファネル構造を前提に考える方が、実務に合っている場面が多いのです。
BtoBにおけるファネル各段階のアクション例
BtoBのマーケティングファネルの各段階で、実際に取るべきアクションを解説します。
ファネルにはさまざまなモデルがありますが、ここではもっとも基本的な「パーチェスファネル」を参考にしていきます。
1.認知
認知段階のゴールは、まずターゲット層に自社の存在やサービスを知ってもらうこと。
BtoBマーケティングでは、ただ知名度を上げるだけでは足りません。
ターゲットが抱える業界特有の悩みに、自社のサービスがどう役立つかをセットで伝えることが重要です。
2.興味・関心
ターゲットに「これは自分に関係があるかも」と思わせる段階です。
「自分にも関係がある」と感じさせ、詳しい情報に興味を持たせます。
興味を持った瞬間に、資料ダウンロードやセミナー案内など、次に取るべきアクションをすぐ提案できるようにしましょう。
3.比較・検討
比較・検討の段階では、ターゲットが他社サービスと自社サービスを冷静に比べながら選択肢を絞っていくプロセスに入ります。
ここで重要なのは、「なぜ自社を選ぶべきか」を具体的に示すこと。他社と比較されたときに、自社の強みが一目でわかる状態が理想です。
4.購入
顧客の最終的な決断を後押しし、不安要素を取り除くことで購入されやすくなります。
例えば、購入・契約に踏み切る上で、顧客が感じるリスクや不安を先回りして解消しましょう。
また、契約後のサポート体制も伝え、「導入後も安心できる」と思わせることもポイントです。
パーチェスファネル以外の2つのマーケティングファネル
これまでパーチェスファネルを中心に解説してきましたが、実際の顧客行動はさらに複雑であり、インフルエンスファネルやダブルファネルといったモデルも存在します。
しかし、実際の顧客行動はさらに複雑で、基本の形だけではとらえきれないケースも増えてきました。
そこでこの章では、パーチェスファネル以外の代表的なファネルモデルとして、ダブルファネルとインフルエンスモデルも紹介します。
1.インフルエンスファネル
【インフルエンスファネルの流れ】
- 継続
- 紹介
- 発信・拡散
「顧客が自ら情報を集め、周囲から影響を受けながら購買判断を進める」という現代型の購買プロセスです。
従来のファネル(パーチェスファネル)は、企業側が広告などで認知・興味を喚起し、顧客を段階的に育てるイメージでした。
一方でインフルエンスファネルでは、顧客自身がSNSや比較サイトなどを巡回し、第三者からの影響を受けながら比較・検討します。
例えば顧客にとって参考になるのが、お客様の声や導入事例です。
2.ダブルファネル
ダブルファネルとは、パーチェスファネル(段階的に顧客を育てる流れ)と、インフルエンスファネル(顧客主導で情報収集する流れ)を組み合わせた考え方です。
BtoBでもBtoCでも、現代の購買行動では、企業側が設計したファネルに沿って進む部分と、顧客が自由に情報を集め、周囲の影響を受けながら意思決定する部分が同時に存在することが当たり前となりました。
つまり、「企業が設計する情報接点」と「顧客が自由に動く情報接点」の両方をバランスよく考える必要がある、というファネルです。
BtoB向けマーケティングファネルを使った自社課題の整理ワーク
マーケティングファネルを実務に活かすためには、理解だけでなく、自社の現状をファネルに当てはめて課題を整理することが重要です。
自社の現状をファネルに当てはめ、課題を整理するための実践ワークにチャレンジしてみましょう。
1. 前提を言語化しよう
最初に「なぜマーケティングファネルを使うのか?」を自分なりの言葉で整理してみてください。
ただ言葉を覚えるだけではなく、実際の施策設計や改善につなげる目的意識を持つためです。
たとえば、こんな風に考えてみましょう。
- 適切なタイミングで、適切なアプローチをするため
- 顧客の動き方を可視化して、ボトルネックを発見するため
- 施策の優先順位を決めて、リソースを無駄にしないため
「自分なりのファネル活用目的」が明確になっていれば、このあとのステップも実感を持って進められます。
2. ファネルに当てはめて現状を書き出そう
次は自社の現状をマーケティングファネルに当てはめて棚卸ししてみましょう。
まずは、パーチェスファネル・ダブルファネル・インフルエンスモデルの中から、自社の顧客行動に一番近いと感じるものを選んでください。
現状を「できていること」「足りていないこと」両方書き出すのがポイントです。
【現状を書き出すときの視点】
- 認知:どうやって自社を知ってもらっている?
(広告、SEO記事、イベントなど) - 興味・関心:興味を持った顧客に、どんな情報や機会を提供している?
(セミナー、資料、事例紹介など) - 比較・検討:他社と比べられたとき、自社の強みはどう伝えている?
(比較資料、導入効果など) - 購入・契約:購入を決断するために、どんな後押しをしている?
(提案資料の送付、個別相談など) - 継続・リピート:契約後、継続利用やアップセルに向けたサポートはできている?
3. どこで顧客が止まっているかを特定しよう
顧客がどの段階で止まってしまっているかを見極めていきましょう。
ここでは、できる限り数字で示すことがポイントです。
- 認知の段階でどのくらいの人に届いているのか?
- そこから興味・関心の施策に反応しているのはどれくらい?
- さらに比較・検討はどのくらいの人がいる?
段階ごとに何%ずつ減っているのか書き出すのも、参考になります。
4.要因を考え次に打つべき施策を考えよう
次はなぜその段階で進めなくなっているのか、原因を考えていきます。
顧客が動けない理由は、次のどれかに当てはまることが多いです。
- 信頼できる情報が足りない
(例:事例や口コミが少ない) - 自分ごと化できていない
(例:課題の深刻さに気づいていない) - 比較の軸があいまい
(例:どのサービスがいいか判断材料が足りない) - 優先度が上がらない
(例:今すぐ動く理由が弱い)
仮説を立てたら、「その壁を越えるには何が必要か?」を考えて施策案を出しましょう。
【仮説と施策案の例】
- 仮説:サービスの違いがわかりにくく、比較・検討の段階で止まっている
→施策案:競合との比較資料を新たに作成する - 仮説:顧客が課題の重要度に気づいていない
→施策案:課題提起型コンテンツを充実させる
5. ネクストアクションを決めよう
最後は、明日からできる「最初の一手」をひとつ決めましょう。
はじめから大きな施策を進める必要はありません。
- 資料を1つ作ってみる
- 既存コンテンツを1ページだけ直してみる
など、小さくてもいいので、具体的な行動をスタートすることが大切です。
BtoBでマーケティングファネルをさらに活かすための実務アドバイス
マーケティングファネルの基本を理解した上で、BtoBマーケティングにおける実務的な改善ポイントも確認していきます。
小手先のテクニックに走るのではなく、成果に直結する考え方を頭に入れておきましょう。
1. ファネル改善は1段階だけに絞る
ファネルを改善しようとすると、つい「全部良くしよう」と考えがち。
しかし、BtoBマーケティングでは、弱点となっている段階をひとつ特定し、集中して改善する方が成果に直結しやすいです。
対象を広げすぎると「どの改善がどこに効いたのか?」が見えにくくなってしまいます。
また、BtoBは1件あたりの商談単価が大きいので、少しずつ良くなるのではROI(投資対効果)が合いません。だからこそ、気になる点ひとつを決めて、そこを一気に改善する戦略が、BtoBでは現実的なのです。
2.コンテンツではなく行動変容を変える
施策を振り返るとき、コンテンツやイベントの完成度ばかりを気にしていませんか?
本当に見るべきは、その施策が「顧客の行動を動かしたかどうか」です。
たとえば読みやすい記事を書いても、資料請求など次のアクションにつながらなければ意味がありません。
次の行動が生まれたかを基準に評価することを心がけましょう。
3.比較・検討フェーズでは社内説得材料を提供する
顧客側の担当者が、社内で説明しやすい材料までサポートすることが大切です。
BtoBマーケティングの特徴として、購入検討者本人だけでは購買判断が完結しないという点があるからです。
検討している担当者は、社内の上司や他部署を説得し、稟議を通す役割も担っています。
担当者の社内説得をサポートすることで、貴社自身の受注確度とスピードを高めることにもつながるでしょう。
4. 「ファネル横断型」の改善施策を1つは入れる
マーケティングファネルは本来、認知から順に少しずつ、段階が進んでいます。
しかし、実際の購買行動では、興味を持った直後に比較検討に進むなど、ステージをまたいで一気に進む顧客もいます。
この動きをうまくサポートするために、「ファネル横断型」で効く施策も考えておきましょう。
【ファネル横断施策の例】
- 1on1無料相談や個別セッション
→興味を持った顧客への個別対応で一気に比較・検討・購入まで伴走する - デモ体験
→興味・検討のハードルを一気に下げ、導入イメージを思い描いてもらう - 診断コンテンツの提供
自己診断で課題認識させ、そのまま提案相談に動線を敷く
ただし、ファネル横断型施策だけに頼るのは危険です。顧客が段階ごとに納得して進む設計を優先して固め、ファネル横断型施策応用策として検討してみてください。
まとめ
「思っていたより興味を引けていなかった」
「比較・検討段階のサポートが弱かった」
ファネルを学び、実践する中で、現実的な課題に気づいた方も多いでしょう。
大切なのは、完璧なファネルを作ることではなく、気づいたことから小さくでも動き出すことです。
マーケティングファネルは、作った瞬間がゴールではありません。
- 顧客行動を観察し
- 仮説を立て
- 打ち手を試し
- また見直していく
このサイクルを回しながら、自社にとって本当に機能するマーケティング設計へと育てていきましょう。
具体的な改善点を整理したくなったという方は、ぜひ一度、リデルにご相談ください。
状況をヒアリングしながら、貴社ならではのマーケティングファネル設計や、最初に取り組むべき改善案をご提案します。
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