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消費者行動を制する者がマーケティングを制す!今さら聞けないAIDMA・ファネルとは?
最終更新日 2025年7月2日(Wed)
記事作成日 2025年7月2日(Wed)
消費者行動モデルを理解しても、それをどのようにマーケティング施策に活用すればよいのか悩む方も多いでしょう。?
AIDMAやAISASなどのフレームワークを知るだけでは、実際の施策設計にはなかなか結びつかない。そんなジレンマを感じた経験がある方も多いはずです。
この記事では、消費者行動の基本モデルをわかりやすく整理しながら、それらをマーケティング施策にどう活かすかまで踏み込んで解説します。
モデルの丸暗記ではなく、消費者の心理や行動の流れをつかみ、施策改善に役立てましょう。
目次
マーケティングに活きる!消費者行動の基本「AIDMAの法則」
商品やサービスに出会った消費者が、どのような意識の段階を経て、最終的に購買行動に至るのか。
その大まかな流れを整理した代表的なモデルが、「AIDMA(アイドマ)の法則」です。
1.AIDMAの法則で示していること
AIDMAは、消費者が商品やサービスを知り、購入に至るまでの心理的プロセスを5つの段階で表したモデルです。
- Attention(注目)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(購買)
まず、消費者は何かしらのきっかけで商品に注目(Attention)します。
次に、その情報に興味(Interest)を持ち、さらに欲求(Desire)へと感情が深まるでしょう。
この欲求は一時的に記憶(Memory)され、やがて購入や申込といった行動(Action)につながります。
2.AIDMAの法則を把握するメリット
マーケティングにおいて、AIDMAの法則を理解するメリットは、ユーザーがどのように商品やサービスに出会い、興味を持ち、購入へ至るかという「行動の流れ」をイメージできるようになることです。
人は商品を突然買うわけではなく、段階的に意識が変化していきます。AIDMAの法則を知ると、行動の流れを頭に置きながら施策を考えられるため、押し付けるような売り方にはなりません。
また、マーケティング施策を設計するときに「どこが弱いか」「どこが足りないか」が見つけやすくなるのも大きなメリットです。
消費者行動の代表フレームワークをざっくり紹介
消費者行動モデルは、AIDMAを基に、デジタル時代の変化に対応したさまざまなバリエーションが登場しています。ここでは、現代の購買行動を捉える代表的なフレームワークをざっくり紹介します。
なお、この章はあくまで座学の位置づけです。すべてを暗記する必要はありません。
それぞれのモデルが「どんな考え方に基づいて、どんな行動を説明しているか」をつかめれば十分です。
細かい用語よりも、まずは「人がどんな心理で動くのか」という流れをイメージしながら、軽く読み進めてください。
1.AISAS
AISAS(アイサス)は、インターネットと検索エンジンの普及にあわせて生まれた消費者行動モデルです。
- Attention(注目)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
AIDMAの流れに「検索」と「共有」という新しいステップが加わっています。
これにより、単に「欲しい」と思うだけでなく、自ら情報を調べ、さらに良いと感じたら他者に広めるという行動パターンが可視化されました。
AISASをさらに詳しく分解し、検索段階での比較・検討やレビュー共有までを細かくとらえたAISCEAS(アイシーズ)も登場しています。
ただし、細かな用語や段階はさておき「調べてから動き、広める時代になった」という大きな流れを押さえておけば十分です。
2.DECAX
DECAX(デキャックス)は、コンテンツマーケティングが主流になった時代に登場した、消費者行動モデルです。
- Discover(発見)
- Engage(関心・共感)
- Check(確認・検討)
- Action(行動)
- eXperience(体験・共有)
コンテンツマーケティングとは、広告ではなく有益な記事や動画、SNS投稿を提供し、ユーザーを引き寄せるマーケティング手法のこと。
企業が直接売り込むのではなく、有益なコンテンツを自然に見つけてもらい、関心を育てていくスタイルをとります。つまり「まず価値提供ありき」という発想が特徴です。
3.SIPS
SIPS(シップス)は、SNS時代の消費者行動をよりリアルにとらえるために作られたモデルです。
- Sympathize(共感)
- Identify(確認)
- Participate(参加)
- Share & Spread(共有・拡散)
特徴は、まず企業発信ではなく、共感から始まること。
「この商品、いいかも」という共感が起点となり確認し、参加(購入・利用)し、さらにシェアして広めていく構造です。
SNSが購買行動に与える影響が大きくなった現代では、この「共感」のきっかけ作りが特に重視されています。
消費者行動を整理する「マーケティングファネル」とは?
AIDMAの法則の大きな特徴は、ステップが進むごとに母数が減ることです。
例えば、最初に広告を見た1,000人のうち、興味を持つのは100人、実際に購入するのは10人。そんなイメージで、段階が進むたびに離脱が起こります。
マーケティングファネルとは、この消費者行動の流れを視覚的に「漏斗(じょうご)」の形で表し、各段階での顧客数の減少を可視化するフレームワークです。
- 認知
- 興味・関心
- 比較・検討
- 購入
- 継続
- 紹介
- 発信・推奨
マーケティング施策を設計する際には、「各ステージでどれだけ次の行動へと橋渡しできるか」が重要です。
この機会に、自社の商品やサービスについて、簡単なファネルの流れをイメージしてみましょう。
【ワーク:自社のファネルをざっくり描いてみよう】
①認知
→自社の商品・サービスを、最初にどの経路で知ってもらっていますか?
(例:広告、SNS投稿、口コミ、検索など)
②興味・関心
→興味を持ってもらうための情報や接点は何がありますか?
(例:公式サイト、ブログ記事、比較資料など)
③比較・検討
他社の商品と比較できる材料を提供していますか?
(例:お客様の声、導入事例、FAQなど)
④購入
購入に至るための導線や購入理由を後押しする仕掛けはありますか?
(例:購入ページ、割引キャンペーン、申し込みフォームなど)
⑤継続
→お客様が商品を使い続けたくなる仕組みはありますか?
(例:定期的なフォローメール、リピート割引、サポート体制など)
⑥継続利用しているお客様が誰かに紹介したくなるような仕掛けはありますか?
(例:紹介プログラム、口コミキャンペーンなど)
⑦発信・推奨
→購入後、お客様が自ら情報を広めたいという行動のきっかけはありますか?
(例:SNS投稿キャンペーン、レビュー投稿でポイント付与など)
消費者行動を分析しマーケティングの落とし穴を分析しよう
ここからはファネル構造のさらに詳しい分析で改善点を見つけ、マーケティング中級者になる方法を紹介。
さらに上級者向けの改善案は関連記事「マーケティングファネルのPDCAを回すには?施策の連携で「線」で考える重要性」でお話ししています。
改善点を見つける方法は、ファネル構造を逆さまに辿ること。通常は「認知→興味→行動→継続→推奨」とマーケティングの上流(スタート地点)から考えます。しかし、わかりやすい数字の成果は、マーケティングの下流でしかほぼ表れません。
そのため、うまくいってない場所から考えた方が「どの部分で何が欠けてた?」と順に逆戻りすると問題点が見えやすいです。
各ステージでの課題を特定するために、以下の問いを自社の状況に照らし合わせて検討してみましょう。
1.発信・推奨〜紹介
Q:最近、自社商品をSNSで紹介してくれた人は?
Q:「買ってよかった!」という声をどうやって拾っている?
答えが出てこない場合、 推奨フェーズの仕組みが不十分である可能性があります。買って満足した人がいても、それを自然にシェアできる導線やメリットがないと、「良かったね」で終わってしまいます。
【仕組み化の例】
- 口コミ投稿でポイント付与
- SNSへのシェアでキャンペーン応募できる
- 紹介コード制度
- 購入後のフォローメールでシェアをお願い
2.継続(リピート・定着)
Q:商品やサービスの利用後、次のアクションを提案できている?
Q:フォローアップや会員施策は実施している?
どちらの「ない」なら、購入後のユーザーが放置されている可能性が大。
買った瞬間が、ユーザーの熱量が1番高いタイミングです。このタイミングでのフォローを逃すと、商品への感動は忘れられ、興味も冷めていくでしょう。
フォローがないと「ただの売り切り」となり、次の購入理由が生まれません。
【リピート施策の例】
- 使い方のフォローで安心感を届ける
- サンクスメールで再接触を生む
- 継続利用のメリットを伝える
- 会員限定の特典や先行案内でLTVを最大化
3.購入
Q:LPや導線で離脱されている場所はある?
Q:「迷わず買える設計」になっている?
一歩なのに離脱されるという、ファネルの中でも最も機会損失が大きい部分です。
ここでは、「購入を妨げる小さなストレス」が大きな命取り。「買う理由」も「買い方」もどちらも迷わせない設計に見直しましょう。
【買う理由の改善例】
- 商品構成やセット内容を伝える
- 今だけの特典で購入を後押しする
- ベネフィットを伝える
【買い方の改善例】
- CTAをファーストビュー&ページ後半にも配置
- 申し込み時の記入項目を最小限に
- 支払い金額や送料を明確に伝える
- コンビニ決済・決済など支払い方法を増やす
4.興味・関心〜比較・検討
Q:競合商品と比べたとき、「一言で説明できる強み」が明確に言える?
Q:比較・検討中の不安(価格、品質、サポートなど)に先回りして答えを用意している?
機能や価格だけで競合と比べられると、どこも似たり寄ったりに見えてしまいます。
消費者が心を動かすのは、「自分にとってここがぴったりだ」と思える理由があるときです。
【選ばれる理由の改善例】
- 「誰向けの商品か」を具体的に絞る
- スペックではなく「得られる体験」で強みを伝える
- ブランドのストーリーや背景を共有する
また、比較検討中の消費者は、必ずと言っていいほど不安を抱えています。疑問や不安を一つずつ丁寧に解消できなければ、購買意欲は一気に下がるでしょう。
【不安を解消する方法の例】
- 料金体系や条件をすべて明確に説明する
- 実績、レビュー、ビフォーアフターを積極的に見せる
- 問い合わせ先・サポート体制をゆ伝える
5.認知
Q:ターゲットが日常的に使っているアプリやSNSは把握している?
Q:自社の商品は、どの経路で最初に見つけてもらってる?
(広告、SNSの自社投稿、SNSのユーザー投稿、口コミ、自然検索など)
Q:広告や投稿は、本当に狙ったターゲット層に届いている?
Q:見つけてもらったあと、印象に残る要素はある?
もし「そもそも知られていない」という結論に至ったなら、次に取るべきアクションは2つあります。
まずは、ターゲットが普段どこにいるのか、どんな情報に触れているのかを改めてリサーチし、「見つけてもらいやすい場所」で認知施策を展開し直しましょう。
【施策の展開場所の例】
- SNSが主戦場なら、SNS広告やインフルエンサー施策を強化する
- 検索行動が多い層なら、SEO記事や比較サイトへの露出を狙う
もう一つの可能性は、自社が想定しているユーザー像が、そもそもズレていることです。
たとえば、
- 20代女性向けと思っていた商品が、実は30代男性の方が関心を持っていた
- 健康志向だと思っていた商品が、忙しくて手軽さを求める人に刺さっていた
といったズレが起きているかもしれません。
【ユーザー像の改善例】
- 購入者データを分析する
- インタビューやアンケートで「なぜ興味を持ったか」を聞く
【よくある疑問】消費者行動とよく似た言葉と意味の違い
消費者行動に関連する用語は多岐にわたり、混同しやすいものもあります。ここでは、それぞれの違いを明確に解説します。
それぞれ微妙に意味が異なるため、違いを正しく押さえておきましょう。
1.購買行動|買う瞬間にフォーカス
消費者行動の中でも、「買う」という決断と実際の購入アクションに特化した概念です。
つまり、たくさんある消費者の行動全体の中でも、特に「意思決定」と「購入」という短い区間にフォーカスしたものといえます。
消費者行動が「興味を持つ」「検討する」「購入後に発信する」といった広いプロセスを含んでいるのに対して、購買行動は「買う瞬間」そのものに焦点を絞っているのが特徴です。
購買行動を理解しておくと、購入直前のタイミングで何を見せるべきか、どんな後押しが必要か、といった「最後のひと押し」の設計に役立ちます。
2.消費者活動|生活者の広い行動全般
単に「買う」という行動だけでなく、生活者としての広い行動全体を指す概念です。
買い物に至るまでの情報収集や比較、購入後の使い方、さらには社会的な活動まで、すべてが含まれます。
- エコバッグで持ち帰る
- 地元産の商品を選ぶ
- SNSでお気に入りの商品を紹介する
こうした行動も、すべて消費者活動の一部です。
単なる購買行動とは異なり、消費者活動は価値観やライフスタイルと深く結びついています。
ちなみに「消費者活動」は、マーケティングに限らずもっと広く、社会学や経済学の文脈でも使われる言葉です。
3.行動インサイトとの違い|行動観察を根拠に分析
行動インサイトとは、ユーザーが実際にとった行動をもとに、なぜその行動を選んだのかを深掘りする考え方です。
分析するのは、単に「何を買ったか」「どこで購入したか」といった表面的なデータだけではありません。「そのときどんな気持ちだったか」「なぜそれを選んだのか」という背景にまで着目します。
たとえば、同じ商品を購入した人でも「急ぎで必要だった人」と、「お得だったからまとめ買いした人」では、行動の裏にあるインサイトは異なります。
行動インサイトを重視することで、ただ売るだけでなく、ユーザーの本当のニーズに寄り添えるようになるでしょう。
4.消費者インサイトとの違い|無意識レベルの本音を分析
消費者インサイトは、消費者自身もはっきり言語化できていない、心の奥にある無意識レベルの欲求や本音を指します。表面的な言動からは見えない「本当はこうしたかった」という動機を探る考え方です。
たとえば、「健康のために運動を始めたい」と言っている人は、「昔の友達に再会して恥ずかしくない体型でいたい」という見えない感情を持っているかもしれません。
この消費者インサイトを捉えることで、単なるスペック訴求ではなく、心に響くメッセージを届けられるようになります。
まとめ
AIDMAなどの消費者行動モデルを活用することで、消費者の心理や行動パターンを体系的に理解し、効果的なマーケティング施策を展開できます。
しかし最も大切なのは、AIDMAの法則などを知識として覚えることではありません。
本当に成果を出すためには、「いま自社のターゲットはどの段階にいるか?」「どこでつまずいているか?」を常に見極め、具体的な施策に落とし込んでいく視点が大切です。
消費者行動を読み取れるようになると、ターゲットの本当の気持ちに合わせて施策を調整でき、マーケティングの成果を高められるようになります。
もし、
「自社のファネルのどこに課題があるか分からない」
「消費者心理を踏まえた施策設計をもっと強化したい」
と感じたら、ぜひ私たちリデルにご相談ください。
消費者行動を深く分析し、現代の市場環境に合ったマーケティング戦略を一緒に考えていきましょう。