コラム

SNS運用のやめどき|撤退と方針転換を分ける3つの数値と外注・内製の切り分け方

最終更新日 2026年9月11日(Fri)

記事作成日 2026年9月11日(Fri)

「そろそろやめたほうがいいのでは」という話は、たいてい根拠のないまま出てきます。数字が伸びないから切られる場合と、担当者の負荷で自然消滅する場合。止まり方は2種類ありますが、原因はどちらも同じで、事前に判断ラインを決めていないことです。この記事では、撤退(アカウント閉鎖)と方針転換を分けて、それぞれ何を基準に決めるのかを整理します。撤退の条件はリソース、方針転換の条件は数値。あわせて、閉じる前に検討できる外注と内製の切り分け方も、業務ごとに示します。

執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。

SNS運用の効果は3ヶ月〜半年で判断する

SNS運用が止まる場面は、大きく2つに分かれます。数字が伸びないという理由で経営判断として切られる場合と、担当者の負荷が限界を超えて自然消滅する場合です。前者は判断が早すぎることが原因で、後者は体制設計をしていないことが原因ですが、どちらも「事前に判断ラインを決めていない」という同じ穴から出ています。

つまり、やめる・変えるの基準は、始める前に数値と期間で決めておくものです。走り出してから決めようとすると、決めるタイミングでは必ず誰かの感覚が入ります。

①1〜2週間で効果は出ないと決めておく

世界観や企画を変えて、1〜2週間で効果は出ません。判断するのは3ヶ月〜半年やってみての結果です。ここを固定しないまま走り出すと、このあと出てくる離脱率やエンゲージメント率といった数値ラインも意味を持ちません。「先月より落ちた」「先々週は良かった」という単位で議論が動いてしまうからです。

②中長期で見ることを上長・経営者と事前に握る

中長期で見る必要があるという観点は、担当者が自分の中で持っているだけでは足りません。社内の上長・経営者と事前に握っておきます。握っていないと、2ヶ月目に「効果が出ていない」と言われた瞬間に、現場は説明の言葉を持ちません。

握るときは口頭で終わらせず、議事録に残しておきます。担当が変わったときにも同じ前提が引き継がれます。運用そのものの引き継ぎ設計については担当者が代わっても崩れないSNS運用の引き継ぎ設計もあわせてご覧ください。

③外注の判断も3ヶ月後に置く

期間の固定は、体制の判断にも同じように効きます。外注を入れた場合も、継続・拡大・撤退を判断するのは3ヶ月後です。初月の手応えで決めない、と先に決めておきます。

論点 基準
効果が出るまでの期間 世界観や企画を変えて1〜2週間では出ない
判断のタイミング 3ヶ月〜半年やってみての結果で判断する
事前にやること 中長期で見る必要があるという観点を、社内の上長・経営者と事前に握っておく
外注の判断タイミング 3ヶ月後に外注継続・拡大・撤退を判断する

撤退(アカウント閉鎖)の基準は数値ではなくリソース

「どのくらい数字が悪くなったら閉じるか」という問いの立て方が、そもそもずれています。撤退の基準は数値ではなくリソースです。ここが方針転換との決定的な違いになります。

数字が悪いから閉じるのではない。更新・リソース・撤退の関係

①閉じる条件と閉じない条件

撤退(アカウント閉鎖)を検討するのは、そもそも回すリソースがなくなった時点です。会社としても個人としても今後リソースを割く予定がなく、完全に誰も手をつけなくなるなら閉鎖します。逆に、何かしら更新する動きがあるなら閉じません。

条件 判断
回すリソースがなくなった その時点で閉鎖を検討する
今後もリソースを割く予定がない(会社としても個人としても) 閉じた方がよい
何かしら更新する動きがある 閉じない
完全に誰も手をつけなくなる 閉鎖

②更新が止まったアカウントは、残すほどマイナスになる

放置が有害である理由もはっきりしています。意味のない投稿、クオリティを担保できない投稿、あるいはひたすら新規投稿だけを続ける状態は、ノイズとして受け取られます。フォローするメリットもなく、イメージも悪化します。

更新の止まったアカウントは、存在しているほうがマイナスです。「いつか再開するかもしれないから残しておく」は、再開の目処が立っていないなら残す理由になりません。

方針転換の3ライン|外部ブースト・離脱・エンゲージメント率

数値で判断するのは、撤退ではなく方針転換のほうです。ラインは3つあります。外部ブーストが効かない、離脱が通常水準の2〜3倍に達している、エンゲージメント率が0.1%を切る状態が続いている。いずれも3ヶ月〜半年で見ます。

①外部ブーストをかけても伸びが変わらない

広告配信・インフルエンサー施策・キャンペーンなど、外部的なブーストをかけても、オーガニック運用時とエンゲージメント・フォロワーの伸びがさほど変わらない場合は、方針転換のラインです。お金をかけても動かないということは、コンテンツそのものか設計に原因があるという意味になります。

ブースト施策 見る指標 転換ラインの状態
広告配信 エンゲージメント・フォロワーの伸び オーガニック運用時とさほど変わらない
インフルエンサー施策 エンゲージメント・フォロワーの伸び オーガニック運用時とさほど変わらない
キャンペーン エンゲージメント・フォロワーの伸び オーガニック運用時とさほど変わらない

②エンゲージメント率が0.1%を切る状態が続く

フォロワー数に対するエンゲージメント率が0.1%を切る(0.05%など)水準が続くなら、判断ラインの一つです。単月の落ち込みで動かず、その水準が続くかどうかで見ます。

指標 ライン 判断
フォロワー数に対するエンゲージメント率 0.1%を切る(0.05%等) その水準が続くなら判断ラインの一つ

③3つのうちどれかに当たったら、続ける前に方針を変える

外部ブーストが効かない、離脱が通常の2〜3倍、エンゲージメント率0.1%割れが継続。この3つのどれかに当たったら、同じやり方を続ける前に方針を変えます。3つ揃うまで待つ必要はありません。

離脱はフォロワー数の約1%が通常、2〜3倍で危機的

離脱(フォロー解除)は必ず起きます。問題は起きるかどうかではなく水準です。通常の離脱と危機的水準の境目を数字で持っておくと、感覚での議論が消えます。

①通常の離脱と危機的水準の境目

通常の離脱はフォロワー数の約1%です。10万人なら1,000人、20万人なら2,000人が通常水準にあたります。その2〜3倍、たとえば20万人のアカウントで毎月5,000人が離脱しているなら危機的で、転換が必要な状態です。

状態 目安 具体例
通常の離脱 フォロワー数の約1% 10万人なら1,000人、20万人なら2,000人
危機的 通常の2〜3倍 20万人で毎月5,000人離脱など → 転換が必要

②離脱を抑えるより、新しい人に見つけてもらう

ただし補足があります。フォロー解除を完全に止めるのは難しく、抑えにいくより、新しい人に見つけてもらう体制を優先したほうが効率的です。

投稿パフォーマンスが悪いということは、新規ユーザーに出会えておらず、フォローのきっかけも生まれていないということです。離脱率の改善に工数を割く前に、リーチ側を見ます。

外注と内製の分け方|業務別の外注しやすさ8業務

ここからは体制の話です。「全部外注」も「全部内製」も悪手です。業務分解をせずに「外注すべきか」と問うても答えは出ません。決めるのは業務ごとです。

全部か、ゼロかで決めない。工程ごとに外注と内製を分ける

①外注を考える前に確認する5つ

  • どの業務が「内製で時間がかかっている」か
  • どの業務が「自社でしかできない」か(撮影・社内事情の判断など)
  • 外注予算が月いくら確保できるか
  • 外注後の品質チェック体制があるか
  • 内製ナレッジが外注先に移転してしまうリスクを許容するか

②業務別の外注しやすさ

戦略・コミュニケーションは内製、制作・運用作業は外注しやすい、という分かれ方になります。ブランドの判断軸と顧客対応は社内に残します。

業務 外注しやすさ 内製すべきか 注意点
戦略設計・KPI設計 内製推奨 内製 自社理解が必要
企画立案 一部外注 内製寄り ブランド理解が必要
撮影 外注しやすい どちらでも 撮影者と相性確認
編集(リール) 外注しやすい どちらでも テンプレ共有で品質担保
キャプション執筆 一部外注 内製寄り トーン&マナー教育必要
投稿スケジュール管理 外注しやすい どちらでも 予約ツール経由
分析・レポート 一部外注 内製寄り 経営判断につながる
コメント・DM対応 内製推奨 内製 顧客対応リスク

外注と内製の比較そのものについてはSNS運用は外注すべきか、内製化するかでも扱っています。あわせてご覧ください。

③外注が失敗する原因3つ

原因 起きること 対処
1 「全部外注」で丸投げする 代理店に丸投げして「思っていたのと違う」という結果になる 業務分解して部分外注する設計にする
2 内製のまま属人化を放置 担当者の負荷が限界を超え、結局運用が止まる 業務の一部だけでも外注し、内製担当者が企画に集中する
3 選定基準が「価格」だけ 最安の代理店に頼んで品質が低く、やり直しで時間ロス 実績・コミュニケーション頻度・修正対応の柔軟性を重視する

外注導入の進め方と、外注後に見るべき4指標

いきなり本発注はしません。テスト期間を挟み、3ヶ月で判断する設計にします。

①即日・1週間以内・1ヶ月でやること

時期 やること
即日 業務工程を「企画・撮影・編集・投稿・分析」の5つに分解する/それぞれにかかっている時間を実測する/外注予算の上限を月単位で決める
1週間以内 外注候補(フリーランス2社・代理店2社)から見積もりを取る/過去の制作実績・修正対応の柔軟性を確認する/初月はテスト期間として編集など限定範囲で発注する
1ヶ月かけて 外注先との品質チェック体制(レビューフロー・修正回数)を整える/外注した業務と内製業務の時間差を比較する/3ヶ月後に継続・拡大・撤退を判断する

②外注後に見るべき4指標

外注は「頼んだ」で終わりではありません。効果が出ているかを4指標で確認します。ここを見ずに半年放置すると、大幅な方向転換を依頼することになります。

指標 改善の目安
内製担当者の月間運用時間 半減〜2/3に圧縮
投稿の品質(人の目視評価) 内製時と同等以上
外注費の月額 売上に対して妥当な比率
外注後のフォロワー伸長率 外注前比1.5倍以上

運用時間そのものを圧縮する考え方はSNS運用を週1時間で回す方法に整理しています。数値を経営層にどう伝えるかは経営層へのSNS報告を参照してください。

③撤退判断と体制判断はつながっている

撤退と体制の話は、別々の議題に見えて実務では連続しています。撤退の第一条件が「回すリソースがなくなった」である以上、外注で体制を作り直せるなら、それは撤退ではなく転換の選択肢になるからです。

症状 先に検討するもの 理由
担当者の負荷が限界で更新が止まりそう 部分外注(撮影・編集・投稿管理) リソース枯渇による閉鎖を回避できる可能性がある
外部ブーストをかけても伸びない 方針転換(企画・世界観) 体制ではなくコンテンツ側に原因がある
エンゲージメント率0.1%割れが継続 方針転換 外注に切り替えても同じ企画なら結果は変わらない
今後もリソースを割く予定がない 閉鎖 誰も手をつけないなら、放置よりマイナスが小さい

運用に落とすときは、次の5つを回します。

  • 運用開始前に「3ヶ月〜半年で判断する」ことを上長・経営者と握り、議事録に残す
  • 方針転換の3ラインを定義して監視する(外部ブーストが効かない/離脱が通常の2〜3倍/エンゲージメント率0.1%割れの継続)
  • 毎月の離脱数をフォロワー数の約1%と比較して記録する(10万人なら1,000人が通常水準)
  • 業務を企画・撮影・編集・投稿・分析の5工程に分解し、それぞれの実測時間と外注予算上限を出す
  • 初月は編集など限定範囲でテスト発注し、3ヶ月後に継続・拡大・撤退を判断する。月次レビューを飛ばさない

よくある質問

①どのくらい伸びなかったらやめるべきですか

数値で撤退を決めません。撤退の条件は「回すリソースがなくなった」「今後もリソースを割く予定がない」「完全に誰も手をつけなくなる」の3つです。数値で判断するのは方針転換のほうで、外部ブーストが効かない、離脱が通常水準(フォロワー数の約1%)の2〜3倍、エンゲージメント率が0.1%を切る水準の継続、この3つを見ます。いずれも3ヶ月〜半年で判断します。

②フォロー解除が増えています。止めるべきですか

まず水準を確認します。フォロワー数の約1%は通常の離脱で、20万人なら月2,000人が通常、5,000人なら危機的です。通常水準なら、抑えにいくより新しい人に見つけてもらう体制を優先します。投稿パフォーマンスが悪いということは新規ユーザーに出会えていないということなので、そちらを直したほうが効率的です。

③外注すべきか内製すべきか、どちらですか

業務分解をせずにこの問いを立てても答えは出ません。企画・撮影・編集・投稿・分析の5工程に分けて、実測時間を出します。そのうえで、戦略設計・KPI設計とコメント・DM対応は内製、撮影・編集・投稿スケジュール管理は外注しやすい、企画立案・キャプション執筆・分析レポートは一部外注で内製寄り、と配分します。ブランドの判断軸と顧客対応は社内に残します。

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