コラム

SNS運用のAIプロンプト8種|企画・台本・診断の型と、そのまま使ってはいけない4工程

最終更新日 2026年9月28日(Mon)

記事作成日 2026年9月28日(Mon)

AIに企画を投げても、当たり障りのない案が10個返ってくるだけ。そう感じて使うのをやめた担当者は少なくありません。原因はAIの能力ではなく、使いどころにあります。AIはゼロから生むより、考える材料を増やす・整えるほうが得意だからです。この記事では、SNS運用で使えるプロンプトを、プラットフォーム選定・競合分析・企画ブレスト・キャプション下書き・リール台本・ハッシュタグ提案・レポート構造化・伸びない診断の8種類に整理し、それぞれ何を入力すれば何が返ってくるのかを対応表にしました。あわせて、8種類すべてを使わずに詰まった工程だけを渡すという考え方と、AI出力をそのまま投稿しないための4工程までまとめています。

目次

執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、
SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。

AIがSNS運用で効く場面|ゼロから生むより材料を整える

AIに企画を投げる。当たり障りのない案が10個返ってくる。1回試して「使えない」と判断する。あるいは逆に、出てきた文章をそのまま投稿する。薄い投稿だけが積み上がる。SNS運用にAIを入れた現場で、最もよく見る2つの失敗です。

原因はAIの能力ではなく、使いどころにあります。AIはゼロから生むより、考える材料を増やす・整えるほうが得意です。企画をゼロから任せれば平均的な案しか出ません。ですが過去1ヶ月の投稿テーマを渡して「被らない案を10個」と指定すれば、選ぶための材料になります。指標を貼って詰まりを診断させるのも、同じ構造です。

①丸投げすると、平均的な案しか返ってこない

AIの企画は平均的に良いものの、突き抜けません。これはモデルの性能の問題というより、前提を渡していないことによるものです。自社の柱も、過去に何を出したかも知らない相手に「SNSの企画を考えて」と投げれば、誰にでも当てはまる案が返ってくるのは当然です。AIに決めさせるのではなく、10案出させて人が自社らしい2案を選ぶ。この分担にすると、はじめて使えるようになります。

②入力が雑だと、出力も雑になる

もう一つの落とし穴が入力の雑さです。「SNSの企画を考えて」と投げるのと、業種・目的・ターゲット・手持ち資産・週稼働まで書いて渡すのとでは、返ってくるものが別物になります。とくに抜けやすいのが手持ち資産と週稼働です。ここを書かないと、撮影人員のいない会社に毎日撮影前提の運用を勧められる、といった実行不能な提案が返ってきます。

③「使えない」と判断する前に、入力を見直す

1回投げて期待外れだったから使えない、と結論するのが3つ目の失敗です。実際に変わるのは入力の厚みのほうで、同じ問いでも前提を足して投げ直すと返ってくるものが変わります。プロンプトは一度書いて終わりにせず、月次で自社の言い回しに近づけていく前提で持ちます。

④詰まった工程だけを渡す

全工程をAIに任せる必要はありません。企画が出ない、キャプションの型が決まらない、数字の読み方が分からない——詰まったところだけをAIに渡し、判断は人がするのが現実的な形です。次章から、その「渡す先」を8種類に整理します。

8種類のプロンプト用途一覧|入力と出力の対応

SNS運用で使えるプロンプトは、8種類に整理できます。「何を入力すると何が出るか」の対応を持っておくと、使う場面の判断が速くなります。

①8種類を入力と出力で並べる

種類 入力 出力
1. プラットフォーム選定 業種・目的・ターゲット 主戦場の媒体1つと理由
2. 競合分析 競合3社のアカウント情報 強み・弱み・差別化軸
3. 企画ブレスト 投稿の柱・テーマ 投稿企画10案
4. キャプション下書き 投稿テーマ・素材 キャプション3案
5. リール台本 企画概要・尺 三段構成のシナリオ
6. ハッシュタグ提案 投稿テーマ・業界 5個セットの3パターン
7. レポート構造化 月次の指標数値 仮説・施策案
8. 伸びない診断 直近5投稿の指標 3層分けでの詰まり仮説

並べてみると、1と2は始める前に決めること、3〜6は毎週作るもの、7と8は出したあとに読むものに分かれます。自分がいまどの段にいるかが分かれば、使うプロンプトは自然に絞れます。

②全部は使わない。場面で選ぶ

8種類すべてを毎回使う必要はありません。立ち上げ期なら1と2、運用が回り始めたら3〜6、数字を見る段になったら7と8、というようにそのとき詰まっている工程だけを渡します。媒体をどう選ぶかで迷っている段階なら、どのSNSをやるべきか|主要プラットフォーム比較と選定基準もあわせて読んでください。

プロンプト実例①|選定・競合分析・企画ブレスト

最初の3つは「何を作るか」を決める前の工程で使います。共通するコツは、AIが知りようのない自社の前提を入力に書き切ることです。

①プラットフォーム選定は、資産と週稼働まで書く

目的・ターゲット・資産・体制を整理して渡します。要点は手持ち資産と週稼働を入れること。これがないと、実行できない媒体を勧められます。

項目 渡す内容
入力 業種/目的(認知・集客・ファン化)/ターゲット(年齢・性別・行動)/手持ち資産(写真・動画・人・場所)/担当者の週稼働(時間)
指示 上記から主戦場SNSを1つ提案し、理由を3つ書いて

②競合分析は、3社の観察情報をセットで渡す

競合3社の観察情報を渡します。投稿内容の特徴と、直近で伸びている投稿をセットにするのがポイントです。片方だけだと「何をやっているか」は分かっても「何が効いているか」が出てきません。

項目 渡す内容
入力 競合A・B・Cそれぞれの投稿内容の特徴/直近の伸びている投稿
指示 3社の共通の勝ち筋、差別化されている独自要素、自社が真似できる要素・避けるべき要素を整理して

③企画ブレストは、過去1ヶ月のテーマを渡して10案

4つの柱と過去テーマを渡して、被らない企画を出させます。ここで過去テーマを渡さないと、既出の焼き直しが返ってきます。

項目 渡す内容
入力 業種/投稿の柱(お役立ち・世界観・拡散・商品紹介)/過去1ヶ月の投稿テーマ一覧
指示 過去テーマと被らない企画案を10個。各案に「1行目フック」と「想定保存ポイント」も付ける

選ぶのは人の仕事です。AIの企画は平均的に良いものの突き抜けない傾向があるため、10案から人が自社らしい2案を選ぶ前提で使います。

プロンプト実例②|キャプション・台本・ハッシュタグ

次の3つは、制作物を作る工程で使います。この3つは型が決まっているので、型と分量を先に指定するだけで出力の質が安定します。

①キャプションは2行改行の法則で200字以内・3案

キャプションは型が決まっています。2行改行の法則に沿わせ、字数も指定します。1行目は問いや結論、2行目に主要メッセージを置く形です。

項目 渡す内容
入力 投稿テーマ/ターゲット(誰向け)/パワーワード分類(感覚・効果・心理・限定・問題解決から1〜2種)
指示 2行改行の法則で、キャプション3案を200字以内。1行目は問いや結論、2行目は主要メッセージ

②リール台本は三段構成でカット長とナレーションまで

台本は三段構成に固定して出させます。カット長とナレーションまで指定すると、そのまま撮影に渡せる粒度になります。リールそのものが伸びない場合は台本以前の問題であることも多いので、リールが伸びない原因|冒頭・尺・BGMのチェックリストで切り分けてください。

項目 渡す内容
入力 リール企画の概要/尺(15〜45秒)
指示 三段構成(0-3秒フック/3-20秒本題+中盤山場/20-45秒クライマックス)で台本を書く。各カットの長さも明記、ナレーション原稿付き

③ハッシュタグは5個セットを3パターン

タグは個数と構成比を先に決めて渡します。ブランド1個+大規模1〜2個+ニッチ2〜3個=計5個を1セットとし、3パターン出させます。想定投稿数まで出させると、規模の偏りが見えます。

項目 渡す内容
入力 投稿テーマ/業界
指示 ブランド1個+大規模1〜2個+ニッチ2〜3個=計5個のセットを3パターン。各タグの想定投稿数(大規模/中/ニッチ)も付ける

レポート構造化と伸びない診断|3層分けの使い分け

残る2つは、数字を読む工程で使います。どちらも3層分け(到達/エンゲージメント/CV)で詰まりを特定させる点は同じです。違うのは入力の粒度と、出させる打ち手の数です。

①到達・エンゲージメント・CVの3層で見る

3層とは、到達(そもそも届いたか)/エンゲージメント(届いた人が反応したか)/CV(反応した人が次の行動に移ったか)の3段です。指標をこの順に並べると、どこで止まっているかが1目で出ます。リーチが出ていないのに投稿の中身を直しても意味がありませんし、保存はされているのにプロフィールに来ないなら、直すのは投稿ではなく導線です。AIに渡すときも、この3層に分けて答えさせると打ち手が具体になります。

②入力の粒度と、出させる打ち手の数が違う

プロンプト 入力 出させるもの
7. レポート構造化 月次のリーチ・保存率・完視率・プロフィールアクセスと前月比 3層分けで詰まりを特定し、仮説3つと翌月の施策3つ
8. 伸びない診断 直近5投稿のリーチ・保存・コメント・完視率 3層分けで詰まりを特定し、最も優先度の高い改善策を1つ

③月次の振り返りは7、伸び悩みの切り分けは8

月次の振り返りならプロンプト7、いま伸び悩んでいる原因を切り分けたいときはプロンプト8を使います。8は打ち手を1つに絞らせるので、次の一手が決まります。改善策を3つ並べられると、結局どれも着手されないまま月が変わります。

④出てきた仮説は、報告の形にしてから出す

AIが出した仮説をそのまま社内に回しても、数値の羅列として読み飛ばされます。上長や役員に出すなら、事業の数字と接続した形に組み替えるところまでが人の仕事です。組み替え方は経営層へのSNS報告|何を出せば納得されるかにまとめています。

AI出力をそのまま使ってはいけない|必須の4工程

ここが一番大事なところです。AI出力をそのまま投稿してはいけません。投稿に流用するときの最低限の手入れは4工程あります。ここを省くと「AIが書いた感」のあるキャプションになり、保存率が下がります。

AI出力に手を入れる4工程|固有名詞・経験談から事実確認まで

①省いてはいけない4工程

工程 やること 省くとどうなるか
1. 固有名詞・経験談 自社らしい固有名詞と、担当者が実際に見聞きした話を入れる どの会社でも成立する文章になり、読む理由がなくなる
2. 言い回しの除去 AI特有の言い回し(「いかがでしたか」等)を消す 生成物だと即座に分かり、信頼されない
3. 口語への書き換え ターゲットが実際に使う言葉に直す 説明文になり、距離が縮まらない
4. 事実確認 数値・固有名詞・仕様の事実関係を確認する 誤った数字がそのまま拡散する

AIが書いた感のあるキャプションは保存率が下がります。必ず人の温度を入れる工程を挟んでください。

4工程は、この順で通すのが効率的です。先に固有名詞と経験談を足すと文章の骨格が変わるため、言い回しの除去と口語への書き換えを先にやると二度手間になります。事実確認を最後に置くのは、書き換えの過程で数字が動くことがあるからです。公開前にもう一度、数値と固有名詞だけを見る時間を取ってください。

②やりがちな失敗5つ

失敗パターン 起きること
AIに丸投げで投稿を作る 薄い投稿が量産される
プロンプトの入力情報が雑 出力も雑になる
1回試して「使えない」と判断する 改善の余地を残したまま使わなくなる
数値や事実を確認せず投稿する 誤情報が残る
AI特有の言い回しを残したまま公開する 保存率が下がる

③チームの資産にするための導入ステップ

個人の工夫で終わらせず、チームで使える形にするための手順です。週にどれだけ時間を割けるかから逆算したい場合は、SNS運用を週1時間で回す方法とあわせて設計してください。

  • 8種類のプロンプトを社内テンプレ化する
  • 毎月の企画ブレストでAIを必ず使う
  • AI出力をそのまま使わず、必ず人が手を入れる
  • 「伸びない」と感じたらプロンプト8で診断する
  • プロンプトを月次で改善し、自社版に育てる

④毎月まわす運用サイクル

  • 詰まった工程だけをAIに渡せているか(全工程を丸投げしていないか)
  • 入力情報に業種・目的・ターゲット・資産・稼働まで書けているか
  • 企画は10案出させ、人が2案を選ぶ運用になっているか
  • 投稿前に4工程(固有名詞・言い回し・口語・事実確認)を通しているか
  • プロンプトを月次で見直し、自社版に更新しているか

よくある質問

①AIの出力はそのまま投稿してよいですか

だめです。自社らしい固有名詞・経験談を入れる、AI特有の言い回しを消す、ターゲットの口語に書き換える、事実関係・数値を確認する、の4工程を必ず挟んでください。この工程を省いた投稿は保存率が下がります。

②8種類すべてを使う必要がありますか

ありません。詰まったところだけAIに渡し、人が判断する形が現実的です。月次の振り返りならプロンプト7、伸び悩みの切り分けならプロンプト8、というように場面で選びます。

③AIの企画案が平均的で使えません

AIの企画は平均的に良いものの、突き抜けない傾向があります。10案出させて、人が自社らしい2案を選ぶ前提で使ってください。過去1ヶ月の投稿テーマを渡して被りを避けさせるのも必須です。

④プロンプトはチームでどう共有すればよいですか

8種類を社内テンプレートにして、入力欄だけを埋めれば使える形にしておきます。個人がその都度書いていると入力の厚みが人によってばらつき、「あの人が使うとうまくいく」状態のまま属人化します。テンプレートは月次で見直し、自社版に育てていきます。

⑤どうすれば出力の質が上がりますか

入力を厚くしてください。業種・目的・ターゲット・手持ち資産・週稼働まで書きます。加えてプロンプトを月次で改善し、自社版に育てていきます。1回試して判断しないことです。

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