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タイアップ動画とは?媒体別の使い分けと、広告に回す判断基準
最終更新日 2026年11月5日(Thu)
記事作成日 2026年11月5日(Thu)

インフルエンサーに商品を動画で紹介してもらう「タイアップ動画」。やってみたいものの、どの媒体に何本頼めばよいのか、出来上がった動画をそのあとどう活かせばよいのかが分からず止まっている、というご相談をよくいただきます。この記事では、社内で運用した247件のタイアップ案件の実測値をもとに、媒体とフォーマットの使い分け、起用人数と尺の決め方、費用の見方、そして広告に転用するかどうかを数字で決める基準までを整理します。
目次
執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。
タイアップ動画とは?広告との違いを先に整理する
タイアップ動画とは、企業がインフルエンサーやクリエイターに費用を払い、商品・サービスをその人自身の言葉と見せ方で動画にしてもらう施策です。企業が作った映像を配信枠に流す広告と違い、発信者のアカウントから発信者の文脈で出る点が違いのすべてになります。
①発信者が「誰か」で結果の大半が決まる
同じ商品でも、誰に頼んだかで数字は大きく動きます。社内で運用した247件のタイアップ案件を横断すると、できあがった映像の出来よりも起用したインフルエンサーの選定で結果の多くが決まるという傾向が繰り返し出ています。企画書より先に、誰に頼むかを詰めたほうが投資効率は上がります。
②運用型広告・純広告との違い
| 項目 | タイアップ動画 | 運用型広告(企業制作の動画) |
|---|---|---|
| 出る場所 | 発信者のアカウント投稿 | 広告枠 |
| 語り手 | 発信者本人の言葉 | 企業のメッセージ |
| 届く相手 | 発信者のフォロワーと、その先の発見面 | 配信設定で指定した層 |
| 表示の義務 | PR表記・関係性の明示が必要 | 広告と分かる枠に出る |
| 二次利用 | 契約で範囲を決める必要がある | 自社素材なので自由 |
両者は選ぶものではなく、つなげるものです。タイアップ動画で反応が良かった投稿を広告に回す設計が、いま最も数字が伸びる型になっています(詳しくは各SNS別のPR投稿ルールもあわせてご覧ください)。
③「タイアップ投稿」「共同投稿」との呼び分け
タイアップ動画は、タイアップ投稿のうち動画フォーマットのものを指します。これとよく混同されるのが共同投稿(コラボ機能)です。共同投稿は複数アカウントが1つの投稿を共同で持つ機能で、費用の有無とは別の話です。共同オーナーのどちらかが投稿を消すと、もう一方のタイムラインからも消えます。アーカイブも同様に影響するため、運用ルールを先に決めておきます。
媒体とフォーマットで数字は変わる|実測ベンチマーク
結論から言うと、動画1本だけで終わらせる設計は、届く量をいちばん取りこぼします。以下は社内で運用した247件のタイアップレポートを横断集計した中央値です。いずれも目安・傾向値(成果保証なし)です。1案件の外れ値で動くため、件数(n)とあわせて読んでください。
①業種×フォーマット別の中央値
| 業種 | フォーマット | リーチ中央値 | ENG率中央値 | n |
|---|---|---|---|---|
| アパレル | リール | 55,205 | 0.71% | 74 |
| アパレル | ストーリーズ | 92,490 | 0.83% | 58 |
| アパレル | タイアップ広告 | 132,617 | 1.36% | 16 |
| コスメ | リール | 18,109 | 0.98% | 17 |
| 食品 | リール | 55,372 | 1.02% | 17 |
| 家電 | リール | 189,307 | 0.78% | 14 |
ここでのENG率は(いいね+コメント+保存+シェア)÷リーチで出しています。フォロワー数を分母にすると休眠アカウントを含んでしまい、実際に見た人の反応が薄まるためです。単一の数字で良し悪しを決めず、同業種の中央値・直接競合・前月比の3つで相対的に見てください。
②1本より3点セット。ただし「率」は逆転する
フィード単独のリーチ中央値12,872に対し、フィード+リール+ストーリーズの3点セットは87,867で約6.8倍でした。一方でリーチ率の中央値はリール単独30.0%、3点セット22.8%、フィード単独14.1%と、率ではリール単独が勝ちます。つまり量が欲しければ3点セット、効率が欲しければリール単独です。フィード+リールの2点だけは中途半端な位置になりやすく、どちらかに寄せたほうが設計は締まります。
③テロップの有無で届く量が変わる
テロップ・字幕を入れた動画のリーチ中央値は109,501で、全体中央値42,720の約2.6倍でした(n=25)。リーチ率も36.0%と、全体の20.7%を上回ります。通勤中や就寝前など音を出さずに見る場面で、映像だけで意味が通る設計が効いていると考えられます。発注条件に「全動画にテロップを入れる」を明記しておくと、ここは取りこぼしません。
タイアップ動画の進め方|設計で効く3つの判断
進め方そのものは「目的決め→選定→ブリーフ→投稿→振り返り」で各社ほぼ同じです。差がつくのは、そのなかの3つの判断です。
①起用人数は3〜5名から始める
人数を増やせばリーチが比例して増えるわけではありません。1名あたりのリーチ中央値は3〜5名で11,258、6〜10名で3,267、11〜20名で2,558と、5名を超えると1名あたりが約4分の1まで圧縮されます。リーチ率の中央値も3〜5名29.5%、6〜10名24.8%、11〜20名20.0%、21〜50名14.1%と右肩下がりです。まず3〜5名で試し、反応の良かった1〜2名を継続起用するほうが効率は上がります。
②尺は目的で変える。指示しすぎない
尺は目的から決めます。認知拡大なら6〜9秒で「1本1メッセージ」、購入前の比較検討なら15〜30秒で「悩み→解決→根拠」、ファン化なら45〜60秒で日常の動線に商品を置く、という3層が設計の原則です。リールは完視聴率25%超からアルゴリズム上の露出が伸び始めるとされ、冒頭3秒・短めの尺・テンポの3条件がそこに効きます。冒頭3秒のフックは、悩み提示型・意外性型・結果先出し型の3つが軸です。
一方で、台本を一字一句指定すると発信者の世界観が壊れ、かえって数字が落ちます。ブリーフには次の7要素を入れ、それ以外は任せるのが基本です。
| ブリーフに必ず入れる7要素 | 発信者に任せること |
|---|---|
| ゴール(KPIを1つに絞る) | 本文の細かい言い回し |
| 訴求軸(何を・誰に・どう感じてほしいか1文) | ハッシュタグの組み合わせ(必須3〜5個だけ指定) |
| NG表現リスト(薬機法・景表法) | 写真・動画の構図と色味 |
| 必須クレジット(ブランド名・公式アカウント・タイアップラベル設定) | コメント返信の対応方針(NG言動のみ共有) |
| 投稿フォーマット(フィード/リール/ストーリーズ) | — |
| 投稿日と前後の枠(「○月○日±2日」の幅で) | — |
| 二次利用範囲(媒体・期間・報酬条件とセット) | — |
③二次利用は契約時にまとめて決める
撮れた動画を広告や自社サイト、店頭で使うなら、投稿後ではなく契約時に範囲を決めます。用途を限定する形なら1点あたり数万円台の追加報酬、用途を限定しない(著作権を譲り受ける)形ならその数倍のレンジが目安です。投稿後に追加で打診すると単価が高騰しやすく、交渉の手戻りも増えます。判断軸は「広告配信に使うか」「競合での活用を制限するか」「使用期間」「媒体範囲」の4つです。
なお複数名を起用するときは、投稿日を2〜3日ずらします。同じブランドの投稿を連日見る状態になると、フォロワー側の反応が落ちるためです。
費用と効果の見方|リーチ単価で判断する
金額の総額だけでは高い・安いは判断できません。1リーチあたりいくらかかったか(リーチ単価)に直すと、案件をまたいで比べられます。
①リーチ単価の目安と、改善が要るライン
| 区分 | リーチ単価の中央値 | n |
|---|---|---|
| 全体 | 5.60円(上位25%は3.40円以下) | 32 |
| マイクロ中心の構成 | 4.90円 | 14 |
| ミドル単独の構成 | 13.90円 | 5 |
| コスメ | 3.40円 | 8 |
| アパレル | 5.65円 | 12 |
| 美容家電 | 20.60円 | 4 |
10円を超えたら改善の余地が大きく、20円を超えたらターゲットと発信者が噛み合っていない可能性を疑います。美容家電・家電が高く出るのは、検討期間が長く単発の動画では動きにくい商材だからです。逆に食品・コスメは3円前後に収まりやすく、タイアップ動画と相性が良い領域と言えます。
②保存はフォーマットで二極化する
保存は「あとで見返す=購買検討に進んでいる」サインで、反応のなかでも重い指標です。熱量の強い順にシェア>保存>DM>コメント>いいねと見ます。保存率の中央値はフィード0.263%、リール0.112%、タイアップ広告0.352%。リールは中央値こそ低いものの、上振れは3.08%まで伸びる二極構造です。リールで保存を狙うなら、当たる本数を前提に設計します。
③KPIは3シナリオで出す
設定されるKPIで最も多いのはリーチで、全案件の8割を超えます。次いでエンゲージメント、インプレッション、保存、コメント、広告転用前提の案件ではCTR・CPM・CPCが続きます。過大なリーチKPIは未達を生みます。直近30日の発信者側の実力とアサイン人数から、最小・標準・上振れの3シナリオで提示しておくと、振り返りが「できた・できない」の話で終わりません。
広告に転用するかを数字で決める
タイアップ動画は、投稿して終わりにすると半分しか使っていません。反応の良かった投稿を広告に回すと、同じ素材でもう一度伸ばせます。ここは感覚ではなく数字で決めます。
①足切りは3条件のうち2つ
広告に回す投稿は、ENG率0.8%以上/保存率0.3%以上/フォロワー外比率30%以上のうち2つ以上を満たすものに絞ります。元の投稿のENG率と、転用後のクリック率にはおおよそ次の階段が見られました。

| 元投稿のENG率 | 転用後のCTRの目安 |
|---|---|
| 2.0%以上 | 6〜10%台 |
| 1.0〜2.0% | 5%前後 |
| 0.8〜1.0% | 4%前後 |
| 0.8%未満 | 1〜2%台 |
投稿側のKPIが未達でも、上位の投稿を広告に回してクリック数で取り返す設計は成立します。最初から「投稿実績+広告転用実績」の合算でKPIを握っておくと、途中で打ち手がなくなりません。
②タイアップラベルは付けたほうが届く
「PR表記を付けるとリーチが落ちるのでは」という懸念をよく聞きますが、247件の範囲では逆の結果でした。タイアップラベル・PR表記のある群はリーチ中央値117,134、ない群は19,870。リーチ率も34.0%対19.6%、ENG率も0.98%対0.84%で、いずれも表記ありが上回っています。表記を避けることに数値上のメリットは見当たらず、景表法上のリスクだけが残ります。
失敗しやすい4つの型と、先に潰す方法
伸びなかった案件を見ると、原因は制作の前段に集中しています。発注の段階で潰せるものばかりです。
①表紙と冒頭3秒で決まってしまう
| 失敗の型 | 起きること | 発注時に決めておくこと |
|---|---|---|
| 表紙の視認性が低い | 初速でフォロワー外に出ず、リーチ率が1桁台に沈む | 0.5秒で何の動画か読める/文字は画面の8%以上/明暗の差を確保/プロフィールの正方形表示で顔が切れないか確認 |
| タイトルと商品が結びつかない | 「悩み」で止まり、商品名まで届かず保存されない | 冒頭3秒に、対象者・季節感・悩み・商品ジャンルを入れる |
| CTAが置かれていない | 興味は持たれるが、次の行動の導線がない | 最後の3秒にプロフィールURL/ハイライト/DMのいずれかを必ず置く |
| 普段の世界観から外れる | フォロワーに違和感が出て、反応が落ちる | 台本指定ではなくトーンの共有にとどめる |
②単発とシリーズは、狙う指標が違う
単発施策のリーチ中央値は54,096、シリーズ施策は17,372で、量では単発が3倍以上大きい結果でした。ところがリーチ率はシリーズ29.5%、単発15.8%とちょうど逆転します。さらに第2弾を明示した群ではリーチ率の中央値が55.3%まで上がりました。認知を広げたいなら単発、効率を上げたいならシリーズと、最初にどちらの指標で評価するかを決めてから本数を組みます。
PR表記とステマ規制|動画での明示のしかた
2023年10月に施行されたいわゆるステマ規制では、処分の対象になるのは発信者ではなく依頼した事業者側です。費用を払って動画を作ってもらう以上、タイアップ動画は必ずこの対象に入ります。
①媒体別に必要な対応
| 媒体 | 必須の対応 |
|---|---|
| Instagramフィード/リール | 本文の冒頭3行以内に「#PR」または「#タイアップ」+タイアップラベル機能をON |
| ストーリーズ | 「#PR」スタンプ+本文での明示 |
| X | 冒頭または末尾に「#PR」「#広告」。短文ならリンクの前に置く |
| TikTok | 「#広告」またはブランドコンテンツ機能を有効化 |
ハッシュタグが使いにくい場面では、関係性を明記する形でも成立します。動画の場合は、テロップでも音声でも構いません。「提供いただきました」「タイアップです」と視聴者に伝わる形であればよく、大量のタグに埋もれる・一瞬しか表示されない形は避けます。契約終了後や別のSNSで同じ商品に触れるときも、提供を受けた事実の明記は必要です。詳しくはステマの炎上事例と対策も参考にしてください。
②依頼する側がやるべき6つのこと
- 広告表記、または提供・招待の明示を、口頭ではなく文書で依頼する
- 依頼した投稿以外(他SNS含む)でも関係性を明記するよう伝える
- 投稿前・投稿後に表示内容を確認する
- 表示の方針と根拠を発信者と共有する
- 表示の管理担当者を決め、その担当者が確認する
- 表示の根拠となる情報を記録・保存し、あとから確認できるようにする
代理店にすべて任せきりにすると、確認が抜けたまま公開される事故が起きやすくなります。依頼から投稿前後の確認までは、依頼した事業者の責任として残しておきます。なお薬機法・景表法の解釈や各媒体の仕様は変わるため、公開時点で最新の要件を再確認してください。
タイアップ動画に関するよくある質問
①まず何人に頼めばよいですか?
3〜5名です。1名あたりのリーチは3〜5名の帯がもっとも大きく、6名以降は急に落ちます。まず3〜5名で試し、ENG率が高かった1〜2名を次回も起用する流れが、費用対効果の面では安定します。
②フォロワーの多い人に頼めば伸びますか?
そうとは限りません。リーチ単価で見ると、マイクロ中心の構成は4.90円、ミドル単独は13.90円で、マイクロ中心のほうが3倍近く効率が良いという結果でした。フォロワー数の絶対値ではなく、フォロワー基盤の濃さが結果を左右します。フォロワー数の多い発信者は当たったときの振れ幅が大きい一方、外したときの損失も大きくなります。
③効果はいつ・何で判断すればよいですか?
投稿直後の初速(リーチ率とフォロワー外比率)、1週間後の保存とシェア、月次でのリーチ単価、の順に見ます。広告へ転用するかどうかは、公開から数日のENG率・保存率・フォロワー外比率の3つで判断できます。順位や売上だけを最終指標にすると、どこを直せばよいかが分からなくなります。
まとめ|次にやること
タイアップ動画で最初に決めるのは、本数でも予算でもなく「どの指標で評価するか」です。量を取るなら3点セットで単発、効率を取るならリール単独でシリーズ。そこが決まれば、起用人数も尺も自然に決まります。
今日できることは1つです。直近のタイアップ投稿を開き、ENG率・保存率・フォロワー外比率の3つを出してみてください。2つ以上が基準を超えていれば、その投稿はいま広告に回せます。超えていなければ、次の発注で表紙と冒頭3秒の条件を書き足すところから始めます。