<まずは頼ることから>公務員が特に苦手なSNSをバズらせるために

長野市

長野市は、善光寺・戸隠・松代をはじめとする歴史と自然の観光資源を有する、長野県の県庁所在地です。観光振興課では、観光の「質」を高めることを重視し、観光客の消費単価を上げることを目標に掲げています。

2025年11月、長野市は公式観光PRアカウント「My Nagano(@mynagano_trip)」をInstagramで立ち上げました。立ち上げから2026年4月までの運用をリデルが支援し、2026年5月以降も運用を続けています。

今回は長野市観光文化部観光振興課 主事の塩川駿様に、リデルと取り組んできた施策や具体的な成果について伺いました。

長野市観光文化部観光振興課 主事 塩川駿様

観光の質を上げたかったが、自分たちの撮影と編集では限界があった

  • オーバーツーリズムが社会問題となるなかで、観光客の消費単価を上げることを目標にしていた
  • 情報発信で最も強いのはSNSだと考えていたが、職員が自分たちで撮影・編集する方法には限界があった
  • 職員の異動が数年ごとにあり、覚えた頃にまた一から、という構造を抱えていた

分からない領域は専門家に任せる、という判断ができた

  • 一流企業や自治体での実績が豊富で、信用できると判断した
  • 相談を重ねるなかで自分たちとは知見のレベルが違うと分かり、まずは任せたほうがよいと判断できた
  • 善光寺御開帳に向けて観光の予算がつきやすい時期が重なり、初年度から本格的に取り組めた

SNSを正しく運用すれば成果が出る、という事例になった

  • ゼロから始めたアカウントのフォロワーが、約3か月で1,700人以上増え、現在は約3,600人になった
  • 自治体のアカウントとしては初期段階で著しい伸びを見せた。
  • 撮影から企画までのノウハウを吸収し、2026年5月から運用を続けている

サービス利用前
課題

観光の質を上げたかったが、自分たちの撮影と編集では限界があった

少しSNSからは外れる話になるのですが、オーバーツーリズムという社会問題があるなかで、観光客の消費単価を上げていきたい、という目標を持っています。質のいい観光地とはどういう場所なのかを常に考えていて、観光客の数を追うことも大事ですが、特にしっかりお金を落としてくださるお客様に来ていただきたい。そこが根っこにあります。

そのうえで、いま情報発信のツールとして一番強いのはSNSだろう、という認識がありました。ではSNSをやらなければいけない。ただ、どうやって質を上げるのか。そこが分からなかったのです。

私たちは素人です。自分たちのスマートフォンで撮影し、自分たちで編集してSNSに上げる。その方法で質の高い観光を求めるお客様に来ていただくのは、無理があるだろうと考えていました。

もう一つ、自治体ならではの課題がありました。職員の異動です。私が異動すれば、新しく入ってきた人がゼロから始めることになります。観光の分野はOTAやFITといった専門用語も多く、まずそこを勉強するところからのスタートです。分かってきた頃に異動、というのはどの部署でもあることです。

LIDDELLと
取り組んだ理由

分からない領域は専門家に任せる、という判断ができた

リデルさんにお願いしようと思ったきっかけは、まず実績です。これだけ一流の企業さんを支援されているという信用がありましたし、自治体でのご経験もある。それなら大丈夫だろう、というところがありました。

決め手になったのは、実際に相談を重ねてみたことです。話をするうちに、自分たちが持っている知見とはレベルがまったく違うと分かってきました。であれば、最初はお任せしたほうがいい。部内でもそのように判断が固まっていきました。

タイミングも重なりました。善光寺御開帳という大きなイベントを控えていて、観光の予算がつきやすい時期だったのです。まずは大きく発信にお金をつけ、専門のプロにやっていただこうという判断ができました。正直に申し上げると、この時点で内製化のことはあまり考えていません。やらなければいけない、でも自分たちではどうやったらいいか分からない。そこからのスタートでした。

2025年11月にアカウントを立ち上げたのですが、翌12月に一度、投稿の方向性を大きく見直しています。最初は本当に何も分からなかったので、リデルさんにほぼお任せという状態でした。そこで、SNSをそもそも何のために始めたんだっけ、というところをディスカッションして整理し直したのです。話しているうちに、最初の目的を見失っていたんじゃないか、ということが見えてきました。戦略を抜きにして、とりあえずSNSを始めてしまっていた。だからもう一度、目的と戦略を整理してから仕切り直しました。最終的に、シネマティックな映像を撮るクリエイターの方を起用する方向へ舵を切っています。いま振り返ると、この見直しがとても大事でした。

クリエイターの選定は、リデルさんから100名規模の候補を出していただくところから始まりました。絞り込む過程で、このクリエイターさんはこういう特徴がある、という説明を一つひとつ丁寧にしていただいています。外部のクリエイターに市の発信を任せることへの抵抗も若干はありましたが、目的と戦略を整理した後でしたので、比較的すんなり進みました。庁内では若手から50代の職員まで意見を出し合い、面談も経て決めています。

施策の効果

SNSを正しく運用すれば成果が出る、という事例になった

ゼロから始めたアカウントのフォロワーは、2026年3月からの約3か月で1,700人以上増えました。伸びが最も大きかった月は、1か月で967人です。現在は約3,600人になっています。

行政が自分たちで運用するアカウントで、ここまでいくんだ、というのが率直な感想です。自治体のアカウントの初期段階としては著しい伸び方でした。SNSを正しく運用すれば伸びていくものなんだね、というところで、良い事例になったと思っています。

一番伸びたのは、戸隠の井上竹細工店で職人の手仕事を撮った動画です。撮影前の打ち合わせで、クリエイターの方が伝統工芸品を撮るのが得意だと分かり、そこに賭けた結果でした。何が良かったのかを考えると、まず音へのこだわりがありました。ASMR的な音のクオリティにしたい、とクリエイターの方がかなりこだわられていたのです。それから職人さんの表情、途中で猫が出てくること。日常感と、プロフェッショナルな職人の手仕事という少し難しいものとの掛け合わせ。アングルや演出も含めて、そういう積み重ねだったと思います。

戸隠 井上竹細工店で竹細工を編む職人

元々はインバウンド向けとして始まった施策でしたが、国内のユーザーの方からも高い反応が得られました。海外向けの広告でも見ていただけていて、この動画の内容は海外にも通用するものなんだな、と感じています。

結果が出た要因として一貫してぶれなかった軸は、動画のコンセプトがあっち行ったりこっち行ったりしなかったことだと思います。質のいい動画、綺麗な映像、美しい映像を届ける。2025年12月に整理したそのコンセプトと軸が、最後までぶれませんでした。

戸隠 井上竹細工店の職人の手仕事

想定していなかった良かったこともあります。当初は、何を撮りたいのかというコンセプトを考えるところから工程を全部自分たちでやらなければいけない、と思っていました。それが、クリエイターの方から、こういうものが撮れます、という提案が来るようになったのです。自分たちが思い描く魅力の見せ方には、正直これくらいだろうという範囲があります。それがクリエイターの方によって広がる。企画を固めすぎる進め方では、こうはならなかったと思います。

おわりに

分からない領域は、最初から知っている人に頼ったほうがいい

将来的には、いつかは内製化していかなければいけないことだと思っています。リデルさんが間に入ってやってくださっていたことを自分たちでできるようになれば、費用も抑えられます。撮影は当然これからもプロにお願いしますが、そのディレクションのノウハウは、かなり吸収させていただきました。マニュアルもいただきました。

最後に、同じ課題を抱える他の自治体の方に伝えたいことがあります。

SNSは、私たち公務員が特に苦手な仕事だと思います。行政の通常業務とは異なり、SNSという最先端のもので、しかも世界に向けて発信するとなると、話が変わってきます。分からないと、始まらないのです。

だから、頼ることです。特にスタートアップの部分は、自分でやろうとせず、知っている人に頼ってしまったほうがいい。同じ人が10年やるのであれば勉強しながらでもいいかもしれませんが、勉強してきた頃に異動というのは、どの部署でもあることです。分かってきた頃にまた一から、です。まったく違う領域だからこそ、まずは聞いて、叩き台をつくって進めていく。そのほうが早いと思います。

――ここまでが、長野市観光文化部観光振興課 主事 塩川駿様のお話です。

本件の運用を担当した、リデルの菅千亜紀は次のように振り返ります。

アカウントの運用とコンテンツについては、SNSのプロに任せる。
それが私たちのアカウント運用の考え方です。
ウェブサイトを撮る一流のカメラマンが、SNSならではの親しみやすさを表現できるかというと、
それはまた別の技術になります。

長野市様の場合は、クリエイターの得意分野と、市が持つ観光資源とを掛け合わせられたことが大きかったと思います。伝統工芸を撮るのが得意なクリエイターと、戸隠の竹細工。この掛け算があったからこそ、市の皆さまが想定されていた魅力の見せ方の範囲を超えるものが生まれました。

そして、良いものをつくれば国内にも海外にも届きます。
注力するターゲットはありながらも、誰が見ても良いと思えるコンテンツをつくれるかどうかが、
いちばん大事だと考えています。

長野市 公式観光PRアカウント My Nagano の投稿画像

まとめ|よくある質問
今回の取り組みで長野市様が判断されたことを、あらためて要点で整理します。

Q. 長野市がInstagramの公式観光PRアカウントを立ち上げた目的は何でしたか?
A. オーバーツーリズムが社会問題となるなかで、観光客の消費単価を上げることが目的です。訪れる人の数を増やすことも大事ですが、観光の質を高めることを目標に掲げていました。

Q. 長野市がアカウントの立ち上げを外部に委託した理由は何でしたか?
A. 職員が自分たちのスマートフォンで撮影・編集する方法では、質の高い観光を求める層に届く映像をつくることが難しかったためです。あわせて、数年ごとの人事異動でノウハウが積み上がらないという構造的な課題もありました。

Q. 立ち上げから2か月で投稿の方向性を見直したのはなぜですか?
A. SNSを始めた本来の目的に立ち返るためです。戦略を整理しないまま運用を始めていたため、2025年12月に目的と戦略を再整理し、シネマティックな映像を撮るクリエイターを起用する方向へ切り替えました。

Q. 自治体がSNS運用を始めるとき、まず何をすべきだと思いますか?
A. 分からない領域は、最初から専門知識を持つ人に頼ることです。数年ごとの人事異動があるなかで、担当者が独学で追いつくのは現実的ではありません。

長野市

長野市は、長野県北部に位置する県庁所在地です。国宝・善光寺の門前町として発展し、戸隠の自然、松代の城下町といった多様な観光資源を有しています。訪れる人の数を追うことも大事ですが、観光振興課では、観光の質を高めることを重視し、消費単価の向上を目標に据えた観光施策に取り組んでいます。2027年4月からは善光寺御開帳を控えています。

長野市は、長野県北部に位置する県庁所在地です。国宝・善光寺の門前町として発展し、戸隠の自然、松代の城下町といった多様な観光資源を有しています。訪れる人の数を追うことも大事ですが、観光振興課では、観光の質を高めることを重視し、消費単価の向上を目標に据えた観光施策に取り組んでいます。2027年4月からは善光寺御開帳を控えています。

お問い合わせ

お名前
何を見てINFLUFECTを知りましたか?
弊社事例インタビューは過去に見ましたか?
個人情報保護方針
SHARE