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ChatGPT o3のビジネス活用法まとめ|業務効率化・導入事例・注意点を徹底解説
最終更新日 2025年7月4日(Fri)
記事作成日 2025年7月4日(Fri)
ChatGPT o3が気になるものの、
「結局どんな業務に向いているの?」
「他のモデルとの差は?」
など、わからない点が多く困っていませんか?
「なんとなくすごそうだけど、業務でどう使えばいいかわからない」
そんな方に向けて、ChatGPT o3の特性と具体的なビジネス活用法を整理しました。
GPT-4や3.5との違いから、部門別活用、カスタムGPTの作り方、導入時の注意点まで網羅しています。
実務にAIを取り入れたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
【前提】ChatGPTには3つのシリーズがある
「ChatGPTを使えば高性能AIが誰でも使える」と思いがちですが、実は3つのシリーズで特徴が変わります。シリーズごとに得意・不得意があり、「どのモデルで動かしているか」によって、AIの賢さも使い勝手もまったく違います。
それぞれの違いを知れば、なぜo3が注目されているのかが腑に落ちるはずです。
モデル名 | 主な特徴 | 向いている用途 | 利用制限 |
---|---|---|---|
GPT-3.5 | 軽量・高速・無料 | アイデア出し、簡単な下書き | 無料プランで利用可 |
GPT-4 | 精度が高く柔軟 | 高度な文書生成、画像読み取り | 有料プランのみ |
GPT-4o | マルチモーダル対応 | 入出力が多様な業務 | 回数制限あり |
GPT-o3 | 高度な推論・論理性 | 複雑な意思決定・社内利用 | API・企業利用に最適 |
GPT-3.5
「GPT-3.5」は、無料プランでも使えるChatGPTの基本モデルです。質問に答えたり、ちょっとした文章を作ったりといったシンプルな対話には十分対応でき、初めてChatGPTに触れる人にとっての入り口のような存在です。
ただし、無料から使える分、事実と異なる情報をもっともらしく返すことがあります。これをAI用語で「ハルシネーション(=AIの思い込みによる誤回答)」と呼びます。
そのため、正確さが求められる業務には注意が必要ですが、「まずは試してみたい」「ちょっと相談したい」という用途にで手軽に使えます。
GPT-4シリーズ
GPT-3.5の強化版がGPT-4シリーズです。
【GPT-4シリーズのモデル例】
- GPT-4
- GPT-4 Turbo
- GPT-4o
(4oのoは「omni」の頭文字で、oシリーズとは別物です)
ビジネス文書の作成や専門的な質問に対応できる思考の深さがあり、3.5よりも正確な回答ができるとされています。
また、「文字だけ」「画像だけ」と対応タスクを限定せず、GPT-4系シリーズのモデルだけで色々な情報を扱えるのも特徴です。
【扱える情報の例】
- 文字の読み書き
- 画像や資料の読み取り、
- 画像生成
GPT-oシリーズ
複雑な問題解決、論理的思考、コーディングなどの「推論能力」を強化したシリーズです。
※推論力:限られた情報やデータを基にして、新たな結論や知識を導き出す能力
oの後につく数字は世代を示しており、数字が増えるほど最新のモデルになっています。
2025年6月現在では、主に次のようなモデルがあります。
- o1
- o3
- o4-mini
o4-miniではo3の性能を引き継ぎ、スピーディに高度な推論を完了させるモデルです。なお、公式からは明確に発表されていませんが、o4-miniの利用回数には制限があります。
企業で活用するならChatGPT o3がおすすめ!4つの理由を紹介
ここまでで、ChatGPTには3つのシリーズがあること、その中でもo3は深く考える推論力に優れたモデルであることが見えたと思います。
では実際に、企業で使うと何が便利なのか、なぜ企業からo3が選ばれているのか、5つの観点から解説していきます。
1.高度な推論で「考える業務」を効率化できる
ChatGPT o3は、「シミュレーテッド・リーズニング(Simulated Reasoning)」という仕組みで、高度な推論を叶えています。すぐに答えを返すのではなく、AIの内部で何段階か思考を踏んでから回答を導き出しているのです。
例えば、質問を受けていきなり結論を出すのではなく、
- 前提を整理し
- 情報を集めて
- 選択肢を比較し
- 最も妥当な結論にたどり着く
といった筋道立てた考え方をしているイメージです。
「情報をただ並べるだけでなく、一緒に考えてほしい」というケースこそ、o3の本領が発揮されます。
2.マルチモーダルの特性により一気貫通で思考できる
マルチモーダルとは、「色々な種類のデータを、ひとつのAIがまとめて扱える」ことを意味します。
これまでのAI(GPT-4シリーズなど)は、画像を見ても「これは〇〇の写真ですね」と説明するだけで終わっていました。
o3では、そこからさらに考えることができます。
【o3でできることの例】
- ホワイトボードに書かれている数式を読み取る
- 計算して結果を出す
- それをレポートにまとめる
→ひとつのAI・ひとつの指示で完結できる
【従来モデル(GPT-4o)の場合】
- 「見る」ことはできる
- 「考える」こともできる
→しかし「見て考える」をひとつの指示でまとめて正確にこなすのは難しい
複数のツールを使い分けたり、指示を重ねたりすることなく、スムーズに分析やレポートを進められるでしょう。
3.APIの活用で便利な機能を作れる
ChatGPTは本来、ブラウザ上で人が直接操作することで使うツールです。
しかし「ChatGPT API」という仕組みを使えば、その機能を自社のアプリや業務システムの中に組み込むことができます。
【例】
- 社内用問い合わせボット
(イメージ)社員が質問 → o3が社内マニュアルや資料を検索 → 答える - 顧客対応+履歴保存
(イメージ)問い合わせに自動応答し、回答履歴をデータベースに保存 - 音声認識・議事録作成
- 多言語対応・翻訳
GPT-4でも仕組み化は可能ですが、o3の方が推論精度が高く誤動作が少ないでしょう。
また、o3を使ったAPIなら、運用コストの低いo3-miniと使い分けできることもメリットです。
4.社員が100人いても、安心して使える
業務で扱うデータには個人情報や社外秘の資料が含まれることもあるため、「AIに入力するのが怖い」と不安に思う方もいるでしょう。
しかし、ChatGPT o3を「Team」や「Enterprise」プランで使えば、セキュリティ設計が万全です。利用者がたとえ100人規模でも、安全性を担保したまま導入できます。
安全対策 | 対応プラン |
データはAIの学習に使われないよう設定 | ・Teamプラン ・Enterpriseプラン |
日本国内にデータを保存できる | Enterpriseプラン限定 |
SSO・SCIMによるユーザー管理 | Enterpriseプラン限定 |
データ保存時の暗号化 | 全プラン共通 |
データ転送時の暗号化 | 全プラン共通 |
※o3モデル以外を使ってもセキュリティ性能は共通です
※契約プランにより対応範囲が異なります
これらのセキュリティ機能はo3モデルに限らず、同じプランを使っていれば共通して適用されます。ただし、o3は特に高度な思考を求める場面で活躍するため、「精度も安全性も妥協したくない」という企業に最適です。
5.だれが・どう使ってるかを全部見られる
ChatGPTを企業で導入すると、次に課題になるのが「使い方の可視化」です。
社員が増えるほど、「誰がどのくらい使っているか」「ルールに沿った使い方がされているか」を把握するのが難しくなるでしょう。
ChatGPTで使える管理コンソール機能(管理者向け機能)の例は次の通りです。
管理機能 | 対応プラン |
ユーザーグループごとの権限付与 | Enterpriseプラン限定 |
ユーザーごとの利用状況チェック | ・Teamプラン ・Enterpriseプラン |
会話内容等の監査 | Enterpriseプラン限定 |
※o3モデル以外を使っても、Team・Enterpriseプランならセキュリティ性能は共通です
※TeamとEnterpriseで対応範囲が異なります
業務にしっかり使えるo3だからこそ、部門や人によって使い方もさまざま。
しかし、管理者側で写真の使い方をチェックできる仕組みがあると、安心して活用を広げられます。
部門別に見るChatGPT o3活用法シミュレーション
ChatGPT o3は、思考や判断をともなう業務にも活用できるAIです。
マーケティング、営業、広報…といった部門ごとに最適な使い方で、柔軟に対応できます。
部門 | 使い方の例 |
マーケ | ・広告コピーのブラッシュアップ ・競合キャンペーンの分析 ・ペルソナのニーズ理解 |
営業 | ・提案書の構成チェック ・商談メモの要点抽出 ・顧客別トークスクリプトの作成 |
法務 | ・契約書の法的リスクチェック ・社内規定の整合性チェック |
広報 | ・プレスリリースの初稿作成 ・社外向け説明資料の表現調整 |
経営企画 | ・定例レポートの分析と要約 ・各部門の施策レビュー ・次期戦略案の叩き台作成 |
一問一答で終わっていた従来のチャットAIと違い、o3なら考えるプロセスを一緒に進めてもらえます。人がゼロからアイデアを出す負担が減り、判断や戦略立案に集中できるようになるでしょう。
【o3モデル対応】社内GPT(カスタムGPT)の作り方
APIを活用してシステム連携すれば、ChatGPTを開かずともo3モデルが使えるようになります。
とはいえ、「開発リソースが社内にない」「エンジニアがいない」といった現実もあるでしょう。
手軽にツールを作るには、ChatGPTの「カスタムGPT」機能が便利です。
【カスタムGPTとは?】
用途に合わせて役割や中身を調整できるオリジナルのChatGPTのこと
カスタムGPT機能で「社内GPT」を作る流れをご紹介します。
1.目的を決め、ChatGPTに伝える
するとエディタ画面が開くので、この左側でChatGPTに求めることを伝えていきましょう。
※最初に「やり取りは日本語でお願いします」と指示すると便利です。
【プロンプトの例】
目的:社内資料の検索用ボット
- 有給を取りたい時はどうする?
- 交通費に関する規定は?
- 経費申請のやり方は?
- 社外からゲストを招く時の手続きは?
など、社内のあらゆる疑問に答えられる社員向けbot
このような役割の定義をカスタムGPTに伝えると、システムのタイトルやロゴの話し合いが提案されます。指示に従ってロゴの初期設定まで進めましょう。
なお、最初から「ツールの名前を決めましょう」と提案されるなど、ChatGPTとの会話は多少前後することもあります。
2.ChatGPTの振る舞いを設定する
ロゴが固まると「ご要望や調整したい点があれば、いつでもお知らせください。何か追加したい機能やルールはありますか?」と返答がきます。
カスタム設定では、ChatGPTの単なるキャラ設定のほか「避けてほしい行動」や「強調してほしいこと」など、回答時に気をつけてほしいポイントを指示しましょう。
【例】
- わからない情報は「わかりません」の返答と適切な問い合わせ先を教えてください
- どの資料を参考にしたかわかるよう、引用文と引用元を明示してください
3.関係資料をアップロードする
PDFやテキスト、画像などの資料をアップロードして、回答の根拠として使わせることが可能です。
資料で背景情報や前提を理解させたうえで、的確な回答を導きましょう。
画面右下の「+」マークからファイルをアップロードできます。
4.設定を完了する
ChatGPTへの情報共有が終わったら、画面を「構成」に切り替えます。
今まで会話ベースで伝えてきたことが「構成」画面に集約されていますので、情報に間違いがないかチェック・修正してください。
問題がなければ、右上の「作成」ボタンでカスタムGPTの立ち上げは完了です。
設定が不十分なことがあっても後から修正できるので、まずはテストとしてミニマムに使ってみると良いでしょう。
修正の際は、完成したカスタムGPTのタイトル横ボタン(プルダウン)をクリックし、「GPTを編集する」から進められます。
企業でChatGPTo3を使う際の注意点
ChatGPT o3は、資料作成や分析、判断のサポートなど実務で使われやすい分、注意すべきポイントもあります。
ここでは、社内で活用する前に確認しておきたいポイントをまとめました。現場で想定されるトラブルを知り、導入準備と並行して対策もイメージしておきましょう。
1.ブラウザ利用とAPI開発のどちらを使うのか具体的に想定する
「ChatGPTを導入すれば、顧客対応やデータ処理が自動化される」と思っている方も少なくありません。しかし、自動化やシステム連携にはAPI開発が必要となります。
その結果
- 想定していたほどの効果が出ない
- 「思っていたのと違う」と現場が混乱する
- 追加の予算や開発リソースが急きょ必要になる
といった問題につながることもあります。
また、ブラウザ上で使う前提で契約したつもりが、一部の現場ではAPI経由でo3モデルを使っていて従量課金が発生していたというトラブルも起こりえます。
【対策のポイント】
「誰が・どこで・何の目的で使うか」を明確に明らかにすることが大切
→ ブラウザ利用か、API利用もOKなのか、導入前に定義しておく
※API経由でo3を呼び出す場合は、課金状況の管理方法も定義の必要あり
2. 個人情報・機密情報の取り扱いを明確にルール化する
ChatGPTでは、入力内容がAIの学習に使われないよう設定が可能です。
しかしそれでも、企業で使う以上、個人情報や機密情報の扱いには慎重になる必要があります。
「AIに何を入れていいか・ダメか」を現場で判断できるようルール化しましょう。
【対策のポイント】
- 部署ごとに利用目的・ファイル種別などの「使っていい範囲」を明文化
- 「AIに入れてよい情報・入れてはいけない情報」の具体例を共有
- 総務・法務・情シスと連携して、社内向け活用ポリシーを策定
3.AIは正解じゃなくヒントを出すものだと理解する
ChatGPT o3では高精度なアウトプットが可能ですが、どれだけ優れたモデルでも「必ず正しい」わけではありません。
あくまでAIは、「もっともらしい答えをそれらしく出すツール」です。
特にo3モデルは推論力が高く、回答の文脈も整っているため、間違っていても一見すると納得できてしまうことがあります。
【対策のポイント】
- AIの回答は「参考意見」「たたき台」として活用する
- 導入初期では利用用途を限定する
(例)調査や情報整理のサポート、要約、ラフ作成 - 重要な判断が伴う業務では、必ず人の目による確認をセットに
まとめ
モデル名 | 主な特徴 | 向いている用途 | 利用制限 |
---|---|---|---|
GPT-3.5 | 軽量・高速・無料 | アイデア出し、簡単な下書き | 無料プランで利用可 |
GPT-4 | 精度が高く柔軟 | 高度な文書生成、画像読み取り | 有料プランのみ |
GPT-4o | マルチモーダル対応 | 入出力が多様な業務 | 回数制限あり |
GPT-o3 | 高度な推論・論理性 | 複雑な意思決定・社内利用 | API・企業利用に最適 |
ChatGPT o3の活用法を見てきて、「できることは多いけど、整備しなきゃいけないことも多いな」と感じた方もいるかもしれません。o3モデルは高機能な分、使い方次第で大きな差が出るAIです。
【最初の一歩としてできること】
- 限定的な部門から試験導入し、利用ルールや効果を検証する
- カスタムGPTで社内用チャットボットをつくって、業務の一部を任せてみる
- 現場に合う活用法を、担当者が提案できる環境を整える
逆に言えば、ルールを整えて明確な目的を持って使えば現場の大きなサポートとなるでしょう。
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