コラム

【2025年最新】ステマの炎上事例5選|対策まで完全解説

最終更新日 2025年12月19日(Fri)

記事作成日 2025年12月17日(Wed)

InstagramをはじめとするSNSは、今や企業にとって欠かせないマーケティングツールです。

インフルエンサーを起用したPR施策も一般的になってきた一方で、近年問題視されているのがステマ(ステルスマーケティング)です。
ステマは発覚すると炎上を招き、企業イメージの低下や業績悪化につながるリスクがあります。

本記事では、ステマとは何かという基礎知識から、実際に起こった炎上事例、企業が受ける可能性のあるペナルティ、そしてステマを回避するための具体的な対策までを分かりやすく解説します。

これからSNSを活用したPR強化を狙う企業担当者・経営者の方に向けたリスクマネジメントなので、炎上を防ぐためにもぜひ最後までご覧ください。

執筆者画像

執筆者:萩原 雄太

SNS・コミュニティマーケティング専門企業「LIDDELL」取締役。
みずほ証券でトップセールスを経験後、2017年よりLIDDELLに参画。上場企業含む多様なクライアントに対し、SNS戦略立案やファンマーケティングを推進。
AI・システム開発・コミュニティ設計にも関わり、100名規模のクラウドワーカーチームを統括している。

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運営会社:リデル株式会社

SNS・インフルエンサーマーケティングに特化した企業。
7,000社以上との取引実績を持ち、50,000名を超えるインフルエンサーと連携。
マーケティング戦略からキャスティング、投稿運用、AI分析、Web3領域まで一気通貫で対応。
個人の影響力を活かした「共創型マーケティング」の実現を得意とする。

ステマ(ステルスマーケティング)とは?

 

ステマ(ステルスマーケティング)とは、「宣伝であるにも関わらず、広告であることを明示せずに情報発信を行うマーケティング手法」のことです。

特にInstagramなどのSNSにおいて、インフルエンサーが企業から依頼を受けてPRを行う場合には、広告表記の有無が重要な判断基準となります。

企業からの依頼によるPRでありながら広告表記がない場合、ステマと受け取られ、SNS上での炎上や企業の信頼低下を招くリスクがあります。

それだけでなく、2023年10月より景品表示法の対象として明確に規制されるようになりました。

ステマに関するリスクを回避するためには、インフルエンサーや外部パートナーにPRを依頼する際、広告であることを明確に表示する運用ルールを整備することが不可欠です。

透明性の高い情報発信を徹底することが、企業の信頼性向上につながります。

»参考:【独自調査あり】ステマとは?具体的な手法からステルスマーケティングを徹底解説!

ステマの炎上事例5選

実際に過去に起こったステマの炎上事例について紹介します。

具体的な事例を知ることで、より自社の炎上リスクについて理解が深まるはずです。

【事例①】ペニーオークション(ぺニオク)事件

ステマという言葉が世間に広く認知される契機となったのが、「ペニーオークション(通称:ペニオク)事件」です。

当時のペニーオークションは、0円から入札できる一方で入札ごとに手数料が発生する仕組みを採用していました。

しかし実際には、運営会社が自ら不正に入札を繰り返し、一般ユーザーの落札機会を奪っていたことが判明

その結果、出品物の価格は最終的に1,000万円近くまで高騰し、利用者は多額の手数料を支払わされる構造となっていました。

さらに問題視された点が、不透明なサービス内容にもかかわらず、複数の芸能人が企業から依頼を受け、広告表記のないままブログでサービスを紹介していたことです。

事件発覚後、ステマへの関与が指摘され、芸能人が活動休止に追い込まれたケースもありました。

この事件は、企業・広告主がステマに関与した場合の社会的影響の大きさを示す代表的な事例といえます。

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捜査関係者によると、鈴木被告は知人を介し、グラビアタレントのブログに、摘発されたペニーオークションのサイトとは別のサイトについて、商品を安く落札できたとうその書き込みをするように依頼。タレントは、実際に落札していない商品を、落札できたかのように装ったコメントを書き込んでいた。

出典:「芸能人に書き込み依頼」 ペニオク詐欺容疑の役員供述

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【事例②】アナと雪の女王2

映画『アナと雪の女王2』の公開時、SNS上で複数の漫画家が作品の感想を漫画形式で投稿したことが話題となりました。

しかし、いずれの投稿にもPR表記がなかったことから、ステマではないかという疑念が広がる事態に。

その後、感想漫画を投稿した漫画家の一人が、PR依頼を受けていたことを公表。

これによりステマであった可能性が明らかになり、配給元であるウォルト・ディズニー・ジャパンに批判が集中しました。

同社は、関係者間の認識不足およびコミュニケーション不全が原因であったとして謝罪しています。

最終的に法的措置は取られなかったものの、広告表記に関する管理体制の不備が企業イメージに影響を与えた事例といえます。

本件は、SNSプロモーションにおけるガイドライン整備と情報共有の重要性を示す教訓となりました。

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映画「アナと雪の女王2」を配給するウォルト・ディズニー・ジャパンは5日、PRと明記せずに、クリエーター7人に同映画の感想を漫画で表現してツイッターに投稿してもらっていたとして、ホームページで謝罪した。

出典:「アナ雪2」PRで謝罪 ステマ批判にディズニー

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【事例③】豊胸サプリのInstagram投稿

2021年、豊胸効果をうたう「ジュエルアップ」「モテアンジュ」というサプリメントが、Instagram上で「2週間でバストアップした」などの表現を用いて宣伝されていました。

これらの投稿は企業からの依頼によるPRでありながらも、広告であることが明示されていないステマであることが問題視されました。

さらに、商品の効果についての根拠が示されていなかったことから、消費者庁は当該表示を景品表示法違反(優良誤認)と判断。

該当の事業者に対して再発防止命令を出す事態にまで発展しました。

消費者庁がステマに関して命令を出したのは、この豊胸サプリに関する事例が初めてのことです。

この事例は、SNS広告における広告表記の徹底だけでなく、効果・効能の表現について法令順守が不可欠であることを示す代表的なケースといえます。

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消費者庁は9日、SNSへの通常の投稿を装い、根拠なく豊胸効果をうたうサプリを宣伝していたとして、健康食品販売会社「アシスト」(東京)と通信販売会社「アクガレージ」(同)に対し、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。


出典:サプリ飲むだけで「胸大きく」、SNSで「ステマ」指示…消費者庁が措置命令

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【事例④】吉本興業

吉本興業所属のお笑い芸人が、京都市のふるさと納税に関する内容をX(旧Twitter)で投稿したものの、PRである旨の明確な記載がなかったことから、ステマではないかとの批判が広がりました。

投稿には複数のハッシュタグが付けられていましたが、広告・プロモーションであることを示す表記は確認できませんでした。

その後、当該投稿が京都市からの報酬を伴うプロモーションであったことが判明。

これに対し吉本興業は「ツイート内容から京都市のプロモーションであることは理解できるはずであり、ステマには該当しない」と説明し、ステマを否定しました。

しかし、この対応自体が世間の反発を招き、広告表記に対する認識の甘さや危機対応の不十分さが、結果的に事務所のイメージ低下につながった事例といえます。

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吉本興業は30日、所属するお笑いコンビ・ミキが京都市についてツイートしたことが、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)と報じられた件について、「ステマには当たらないものと考えております」と見解を報告した。


出典:吉本興業、ミキのステマ疑惑に見解「当たらないものと考えております」

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【事例⑤】マイクロソフト

世界的IT企業であるマイクロソフトは、自社開発のゲーム機「Xbox One」のプロモーションとして、動画クリエイターに対しPR投稿を依頼していました。

契約内容は、「Xbox One」を使用した動画を公開した場合、再生回数1,000回ごとに3ドルを支払うという成果報酬型だったと、一部のクリエイターが証言。

しかし、PR動画にはプロモーションであることを示す明確な表示がなかったため、ステマに該当すると判断され、米国連邦取引委員会(FTC)のガイドライン違反となりました。

本事例は、グローバル企業であっても広告表記の不備が重大な問題となること、また国や地域ごとの広告規制を正しく理解した上でPR施策を設計する必要性を示すケースといえます。

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Microsoftの「Xbox One」とソニーの「プレイステーション4(PS4)」による据え置き型ゲーム機市場の覇権争いが繰り広げられていますが、MicrosoftがXbox Oneのプロモーション活動の一環として、ステルスマーケティングを行っていることが明らかになりました。


出典:マイクロソフトが「Xbox One」のプロモーションでステルスマーケティングを行っていることが判明

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ステマ発覚によって起こる2つのペナルティ・デメリット

ステマが発覚すると、主に2つのペナルティとデメリットが発生します。

  • 信用の低下による経済的損失
  • 違反による罰則

特に法改正によって企業側には罰則が適用されるようになったため、担当者は必須で押さえておきましょう。

【デメリット①】信用の低下による経済的損失

ステマが発覚した場合、企業の信頼性は大きく損なわれ、結果として深刻な経済的損失を招くリスクがあります。

過去の炎上事例からも分かるように、企業規模や知名度にかかわらず、世界的ブランドであっても批判の対象となる可能性は十分にあります。

SNS上での批判にとどまらず、不買運動の拡大や株価の下落といった、事業活動に直結する影響を受けるケースも少なくありません。

さらに、コンプライアンス意識の欠如と受け取られた場合、取引先やパートナー企業からの信用を失い、中長期的なビジネス関係に悪影響を及ぼす恐れもあります。

【デメリット②】違反による罰則

2023年10月からステマ規制法が、景品表示法の運用強化として施行されました。

刑事罰はなく、ステマ単体では課徴金の対象外ではありますが、事業者に対しては措置命令や企業名の公表といった、以下の対応が想定されます。

  • 措置命令(再発防止命令)
  • 違反表示の停止
  • 再発防止策の実施・社内体制の整備を命令
  • 企業名・違反内容の公表

ステマを防ぐ方法3選

ステマによる炎上リスクを防ぐためには、3つの方法が効果的です。

  • インフルエンサーと企業の関係を明記する
  • 広告主について明記する
  • 虚偽記載をしない

【方法①】インフルエンサーと企業の関係を明記する

ステマによる炎上を防ぐためには、インフルエンサーと企業の関係性を明確に開示することが重要です。

インフルエンサーや芸能人にPRを依頼する場合、投稿時には「#PR」「#AD」「#提供」「#タイアップ」「#プロモーション」など、広告であることが分かる表記を必ずお願いする必要があります。

これらの表記がない場合、意図せずステマと判断され、企業側が責任を問われるリスクがあるからです。

特にInstagramでは「タイアップ投稿」機能を活用することで、広告主を明示した透明性の高い運用ができます。

適切な広告表記は、ユーザーの不信感を抑え、企業の信頼性を維持するための重要な施策といえるでしょう。

【方法②】広告主について明記する

ステマによる炎上を回避するためには、広告主の明示も重要なポイントです。

インフルエンサーや著名人に自社の商品・サービスのPRを依頼する場合、投稿内に企業名やブランド名を明確に記載してもらう必要があります。

広告主を明示することで、投稿を見たユーザーに宣伝であることが分かりやすく伝わり、ステマと誤解されるリスクを低減できるのがポイントです。

また、企業名やブランド名の露出は、炎上対策にとどまらず、認知度向上やブランド想起の強化にも寄与します。

透明性の高い情報開示を徹底することが、SNSマーケティングにおける信頼性確保や炎上リスク回避につながります。

【方法③】虚偽記載をしない

虚偽の内容を含む投稿は、ステマとして炎上するリスクを大きく高めるため注意が必要です。

  • SNSにおけるいいね数やフォロワー数の改ざん
  • 閲覧数をプログラムで操作する行為、実際には利用していない商品やサービスを使用したかのように投稿させるケース
  • 虚偽の口コミによる人気操作

これらは、事実と異なる情報発信として問題視されます。

消費者の誤認を招き、企業のブランド価値低下や取引先からの信用失墜につながりかねません。

集客や販売促進を目的としたステマは、リスクに対して得られる効果が小さく、企業にとってハイリスク・ローリターンな施策といえるでしょう。

確実にステマを対策するには、専門業者に相談するのがおすすめ

今回紹介したステマの炎上事例から分かるように、SNSマーケティングは運用を誤ると、企業規模を問わず大きな信用リスクを招きます。

炎上リスクを回避した安全な運営を行うには、法規制やガイドラインを正しく理解した上で、専門的な知見に基づく施策設計が不可欠です。

実績のあるマーケティング専門業者に委託することで、炎上リスクを抑えながら効果的なWebマーケティングを実現しやすくなります。

自社運用に不安がある場合は、プロのサポートを活用することも有効な選択肢といえるでしょう。

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