コラム

教育・スクールのSNS運用|合格実績の書き方と受講前の不安を消す4素材

最終更新日 2026年9月24日(Thu)

記事作成日 2026年9月24日(Thu)

「絶対合格」と書けば問い合わせは増えます。ただし、書いた瞬間に景品表示法違反です。教育・スクールのSNS運用で最も多い事故がこれで、原因は受講生獲得の焦りにあります。一方で、受講検討者が本当に知りたいのは合格実績の数字ではありません。自分に合うか、続けられるか、教室の雰囲気はどうか。この不安を消せば、保証表現に頼る必要そのものがなくなります。この記事では、保証表現NGリストによる投稿前チェック、受講前の不安を消す4素材、鉄板コンテンツ7型、体験会予約獲得率1〜3%という業種別KPIの目安、そして合格実績に母数・集計期間・対象範囲を併記する書き方まで、現場で使う判断基準を整理します。投稿のゴールは入会ではなく、体験会予約に置きます。

目次

執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、
SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。

教育・スクールのSNSで「絶対合格」が使えない理由

成果を強く打ち出したい。「絶対合格」と書けば問い合わせが増える。実際、一時的には増えます。そしてそのあとに行政指導や指摘が来ます。教育・スクール業界で最も多い事故がこれです。

原因は受講生獲得の焦りにあります。焦りが断定表現を呼びます。「絶対合格」「必ず成績UP」「合格保証」。これらは景品表示法違反になります。「◯名合格」という数字も、母数や受講期間を書かなければ優良誤認の対象です。強く言いたい誘惑と法規制のあいだで揺れ続けるのが、この業界の構造です。

①3つの法律が同時に効く

教育・スクールは、景品表示法・特定商取引法・個人情報保護法が同時に効く業種です。違反は受講生獲得の停止、損害賠償、行政処分のリスクにつながります。他業種の運用ルールをそのまま持ち込むと、どこかで必ず引っかかります。

やってしまいがちなこと 何に触れるか
合格保証・絶対・必ず などの保証表現 景品表示法違反
合格実績の母数・期間を示さない数字訴求 優良誤認の対象
業界最安・日本一 などの最上級表現 客観的根拠が必要
受講料の二重価格表示(定価→特別価格) 通常販売実績が必要
受講生写真・氏名の無許諾使用 個人情報保護法・肖像権侵害
クーリングオフ・中途解約条件を表示しない 特定商取引法の表示義務違反

②保証表現NGリストを投稿前チェックに組み込む

個人の注意力では止まりません。止めるのは仕組みです。「絶対」「必ず」「保証」「100%」といった語を並べた保証表現NGリストを作り、投稿前チェックの工程として必ず通します。チェックするのは投稿者本人ではなく、教室長または運営責任者です。

あわせて、月次で過去投稿を棚卸しします。昔の投稿に残った誇大表現は、いま出した投稿と同じだけのリスクを持ちます。表現規制と向き合う業種という点ではコスメのSNS運用(薬機法の言い換え)や医療機関のSNS運用と共通する論点が多く、運用ルールの作り方は参考になります。

③保証表現をやめても、訴求力は落ちない

ここが本題です。保証表現をやめると弱くなる、というのは誤解です。そもそも受講検討者が知りたいのは合格実績の数字ではありません。自分に合うか、続けられるか、教室の雰囲気はどうかという不安です。不安を消す情報を出せば、保証表現に頼る必要そのものがなくなります。

教育・スクールは、受講生の成果ストーリーと講師の専門性という2軸で信頼を積むのが王道です。強い言葉ではなく、量と具体で積みます。

受講前の不安を消す4素材

受講検討者の不安は、漠然としているようで4種類に分かれます。不安が分かれれば、出す素材も決まります。「何を投稿すればいいか分からない」という状態は、ほとんどの場合、この対応表を持っていないだけです。

受講前の不安 消す素材
自分と似た人が伸びているか 受講生の成果ストーリー(入学時・中盤・卒業時の3点セット)
誰が教えるのか信用できるか 講師紹介・専門性アピール・卒業生インタビュー
続けられる環境か 教室・学習環境紹介、体験会の告知
何をどう学ぶのか 教材・カリキュラム紹介、学習Tips・勉強法解説

①成果ストーリーは3点セットで蓄積する

成果ストーリーは、卒業時の1枚だけを出しても効きません。入学時・中盤・卒業時の3点をセットで見せると、年単位の経過が見えて共感が一気に強くなります。逆に言えば、いま在籍している受講生の「入学時」を撮っておかないと、1年後に出せる素材がありません。

これは撮影ではなく運用の話です。入会時のオリエンで写真と一言コメントを取る、中間面談のタイミングで同じ質問をもう一度する。この2つを業務フローに埋めておけば、素材は自動で貯まります。

②講師の人柄は、専門性と同じくらい見られている

「誰が教えるのか」は、受講検討者にとって最大の不確定要素です。資格や指導歴といった専門性の提示に加えて、話し方・表情・生徒への接し方が伝わる素材を出します。講師紹介はフィードとリールの両方で作ると、静止画で情報を、動画で空気を届けられます。

③4素材で足りないものは、投稿を増やしても埋まらない

投稿本数を増やしても反応が変わらないとき、たいていは4素材のどれかが欠けています。成果ストーリーばかりで講師が見えない、教室の写真ばかりで学習内容が分からない、といった偏りです。月初に「今月はどの不安を消すか」を決めてから本数を割り振ると、偏りが起きません。

プラットフォームの優先度と、設計を分ける4つの前提

全部やろうとすると、全部が中途半端になります。役割を分けて順番を付けます。

優先度 プラットフォーム 理由
第1 Instagram 講師の人柄・学習風景・成果ストーリーが伝わりやすい
第2 TikTok 10〜20代向けスクールでZ世代のリーチに強い
第3 YouTube 講師の専門性と授業品質を長期的に蓄積できる

①媒体の順番は、商材ではなく受け手で決まる

Instagramが第1になるのは、この業種で伝えるべきものが「講義そのもの」ではなく「学びの成果・学習体験・講師の人柄」だからです。10〜20代が受講層の中心ならTikTokの優先度が上がり、専門性の蓄積を長期で狙うならYouTubeが効きます。媒体選定の考え方そのものはどのSNSをやるべきか|主要5媒体の比較表に整理しています。

②教育・スクールの4つの前提

他業種と設計が変わるのは、次の4点があるからです。

観点 内容
ターゲット層 受講検討者本人、保護者(子ども向け)、企業の人事(法人研修)
季節性 入試・新学期・夏期講習・冬期講習で需要が大きく動く
商品の可視化 講義そのものより、学びの成果・学習体験・講師の人柄
コンプライアンス 景品表示法・特定商取引法・個人情報保護法が同時に効く

ターゲットが受講者本人と保護者に分かれる点は、とくにトーンに効きます。軽いノリのリールが本人に刺さっても、保護者層の信頼と衝突することがあります。法人研修が主軸なら、読み手は担当者になるため、BtoB・SaaSのSNS運用の設計に寄せたほうが噛み合います。

鉄板コンテンツ7型と季節カレンダー

毎回ゼロから考えると続きません。内容と形式をセットにした7型を持ち、ローテーションします。形式まで型に含めるのが要点です。「何を出すか」だけ決めて「どの形式で出すか」を毎回考えていると、そこで止まります。

型 内容 適した形式
1 受講生の成果ストーリー(守秘配慮) カルーセル
2 講師紹介・専門性アピール フィード+リール
3 教室・学習環境紹介 リール
4 学習Tips・勉強法解説 カルーセル(教育型)
5 季節講習・体験会の告知 フィード+ストーリーズ
6 教材・カリキュラム紹介 カルーセル
7 卒業生インタビュー カルーセル+リール

①季節需要で1年を先に割ってしまう

教育業界は季節需要が極めて明確です。だからこそ、年度の頭に1年分を割ってしまえます。ネタ出しに使う時間が消えるので、これだけで運用の負荷が下がります。

  • 1〜3月:入試直前・受験生応援・合格報告(個別配慮)
  • 4〜6月:新学期・新規入会キャンペーン・体験会
  • 7〜8月:夏期講習・自由研究支援・読書感想文Tips
  • 9〜10月:受験本格化・志望校選び・模試対策
  • 11〜12月:冬期講習・年末年始講習・入試直前期準備

②告知は告知だけで完結させない

季節講習や体験会の告知は、単体で出すと反応が落ちます。前後に4素材(成果ストーリー・講師・環境・カリキュラム)を挟み、告知にたどり着いたときには不安が先に消えている状態を作ります。告知の本数を増やすより、告知前の素材を厚くするほうが効きます。

業種別KPIの目安|ゴールは入会ではなく体験会予約

相場観がないと、良し悪しの判断ができません。2026年時点の業種平均としての参考値を置きます。

指標 目安
投稿頻度 フィード週3〜4本、リール週1〜2本、ストーリーズ毎日
保存率 6〜10%(勉強法系は12%超えを狙う)
プロフィール遷移率 4〜7%
体験会・説明会の予約獲得率 1〜3%
入会率(体験会経由) 30〜50%

①体験会に来た人の3〜5割が入会する

この数字が、KPI設計の起点です。体験会経由の入会率が30〜50%あるということは、体験会に来てもらえれば半数近くが入会するということです。つまり投稿で入会を直接狙う必要はありません。

投稿のゴールは入会ではなく体験会予約に置きます。追う数字は予約獲得率1〜3%です。入会数だけを見ていると、投稿の良し悪しが判断できるまでに数か月かかりますが、予約獲得率なら週次で動きが見えます。

②保存率が伸びないときは勉強法系を足す

保存率の目安は6〜10%ですが、学習Tips・勉強法解説のカルーセルは12%超えを狙えます。全体の保存率が落ちているときに告知や教室紹介を増やしても戻りません。保存される型は7型のなかで決まっているので、その比率を上げます。

③運用体制は週120〜180分で組む

体制の目安を先に決めておくと、こなせない量を引き受けずに済みます。

  • 人数:広報担当1名+講師協力2〜3名+撮影担当1名
  • 週次稼働:120〜180分(撮影60分・編集45分・講師連携30分・分析15分)
  • 必要スキル:教育業界知識・個人情報配慮・著作権対応(教材使用)
  • 必須プロセス:投稿前に教室長・運営責任者が表現をチェックする

週2〜3時間です。この枠に入らない企画は、企画のほうを削ります。社内への説明が必要な場合の組み立て方は経営層へのSNS報告|何を出せば納得されるかが参考になります。

合格実績の見せ方と、陥りやすい5つの罠

「◯名合格」だけを打ち出すと、母数が書かれていないため過大と批判されます。実績投稿には併記が要ります。

書き方 判定
◯名合格とだけ書く 母数・受講期間が不明。優良誤認の対象になる
母数・集計期間・対象範囲を併記する 実績訴求として成立する
業界最安・日本一と書く 最上級表現は客観的根拠が必要になる
業界初・日本初と書く 調査出典の明示なしには使えない

「業界初」「日本初」の表記は、行政から景表法違反として指導された事例が複数報告されています。使うなら調査出典を先に用意します。

①同意は写真・実名・学校名・映像で細分化して取る

成果ストーリーは強力で、同時に個人情報配慮と誇大表現回避が必須になります。守るのは4点です。

  • 必ず文書同意を取得し、利用範囲を明示する
  • 名前・顔写真は本人の意思を尊重し、選択肢を用意する
  • 「成績が30点UP」等の具体的数値は個別事例である旨を明記する
  • 「絶対合格」「必ず受かる」等の保証表現は絶対に使わない

未成年の受講生を扱う場合は保護者の同意も必須です。そして同意書は、写真・実名・学校名・映像に分けて許諾を取ります。ここを一括で取ると、後から「学校名だけ消してほしい」という依頼が来たときに範囲を切り分けられません。削除依頼は数年後に来ることがあります。

②5つの罠は、症状と対処をセットで持つ

罠 症状 対処
保証表現で景表法違反 派手な成果保証コピーで問い合わせは増えるが指導を受ける 保証表現NGリストで投稿前チェックを必ず実施する
合格実績の見せ方 ◯名合格と打ち出すが母数がなく過大と批判される 母数・集計期間・対象範囲を必ず併記する
個人情報のうっかり露出 氏名・学校名・顔写真を載せ、後から削除依頼を受ける 写真・実名・学校名・映像を細分化した同意書を整備する
講師個人発信との衝突 講師が公式と異なる方法論を発信して混乱を招く 講師個人発信のルールを明文化し、毀損リスクのある表現を制限する
トレンド便乗の矛盾 軽いノリのリール後、保護者層から批判される 投稿トーンを保護者が見て安心できる範囲に揃える

③SNSに投資しない判断も合理的になる

相性が悪いケースもあります。高度専門教育・少人数制スクールは、拡散より既存ネットワークと紹介のほうがROIが高くなります。実績がまだ薄いスクールは実績訴求ができないためSNSが弱くなります。個別指導・家庭教師中心は地域口コミとMEOのほうが効率的なことが多く、法人研修専門はBtoB営業とウェビナー誘導のほうが商談化率が高くなります。

入会の半数以上が友人紹介という業態もあります。その場合、SNSは補助に回します。口コミ・紹介・教室体験会に投資するほうが合理的なら、そちらを先に厚くします。

④月次の棚卸しまでを運用サイクルに入れる

投稿前チェックだけでは足りません。次の6項目を運用サイクルとして回します。

  • 「絶対合格」「必ず◯◯」などの保証表現NGリストで投稿前チェックしているか
  • 受講生・卒業生の写真使用は文書同意を必ず取得しているか
  • 未成年の場合は保護者同意も必須化しているか
  • 合格実績に集計範囲・対象年度・サンプル数を明記しているか
  • 教材・テキストの著作権使用範囲を確認した上で投稿しているか
  • 月次で過去投稿に誇大表現がないか棚卸しているか

よくある質問

①成果を強く打ち出したい。どこまで書けるか

「絶対合格」「必ず受かる」「合格保証」は景品表示法違反になります。書けるのは、個別事例である旨を明記した具体的数値までです。「成績が30点UP」と書くなら、個別事例であることを併記します。

②合格実績はどう見せるか

実績投稿には母数・集計期間・対象範囲を必ず併記します。「◯名合格」だけでは過大と批判され、優良誤認の対象になります。「業界初」「日本初」は調査出典の明示なしには使えず、指導された事例が複数報告されています。

③受講生の写真や名前はどこまで使えるか

文書同意を取得し、利用範囲を明示します。名前・顔写真は本人の意思を尊重して選択肢を用意します。未成年なら保護者同意も必須です。許諾は写真・実名・学校名・映像を細分化して取ります。

④投稿のゴールをどこに置くか

入会ではなく体験会予約に置きます。体験会経由の入会率が30〜50%あるため、体験会に来てもらえれば半数近くが入会します。追う数字は体験会・説明会の予約獲得率1〜3%です。

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