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競合分析のやり方|見るべき5項目と真似してよい範囲の線引き
最終更新日 2026年10月1日(Thu)
記事作成日 2026年10月1日(Thu)

競合のアカウントを開いて、すごいと思って閉じる。それは観察であって分析ではありません。競合分析で先に決めるのはツールではなく観察項目です。競合は3社に絞り、観察項目を5つに固定し、見た結果を自社施策へ翻訳するところまでを1つの作業にします。この記事では、競合の3分類、固定する観察項目5つ、比較で見る4指標、誤った比較の3パターン、そして真似してよい範囲と世界観が薄まる境界線までを、月1時間で回る形に整理します。
目次
執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、
SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。
競合分析が示唆に変わらない理由|観察項目が固定されていない
①見て、すごいと思って、終わる
競合は3万人、自社は500人。数字を並べて落ち込み、上長からも比較される。焦って似た投稿を作り、世界観が薄まる。競合分析の相談で最も多いのがこの流れです。
原因は分析をしていないことではありません。見て終わっていることです。競合のアカウントを開いて、投稿を眺めて、すごいと思って閉じる。これは観察であって分析ではありません。分析と呼べるのは、見たものが自社の次の一手に変わったときだけです。
②ツールより先に、何を見るかを決める
競合分析で最初にやるべきなのはツールの選定ではありません。観察項目の固定です。ツールを契約しても、見るべき項目が決まっていなければ数値の一覧が増えるだけで、判断は何も変わりません。
そして分析は真似のためではありません。自社に取り込む差別化のために見ます。ここを取り違えると、競合の投稿フォーマットをそのままコピーして、自社の世界観を自分で薄めることになります。
| 論点 | 判断 |
|---|---|
| 何が重要か | ツールではなく観察項目の固定 |
| 何社見るか | 3〜5社に絞る。10社を浅く見るより3社を深く |
| 何のために見るか | 真似ではなく、自社に取り込む差別化のため |
| どこまでやるか | 自社施策への翻訳まで。数値を見て終わるならやらない方がマシ |
③数値を見て終わるなら、やらない方がよい
月1時間かけて競合の数値を一覧化しても、そこから施策が1つも生まれないなら、その1時間は投稿を1本作る時間に使った方が成果が出ます。競合分析は自社施策への翻訳までセットで1つの作業です。
見る順序は決まっています。競合を3社に絞る。観察項目を5つに固定する。数値を見て終わらせず、自社施策への翻訳までやる。ここまでやって初めて意味が出ます。
競合を3つに分類する|真の競合・遠い競合・無関係
①同じ業種だから、という理由で並べない
比較の前に、競合リストを仕分けます。同じ業種というだけで並べると、商圏も価格帯も顧客層も違う相手と自社を比べることになり、判断がずれます。
| 分類 | 扱い |
|---|---|
| 真の競合 | 商圏・価格帯・購買動機が重なる相手。定点観測の対象にする |
| 参考になる遠い競合 | 手法だけ参考にする。数字は比較対象にしない |
| 無関係 | リストから外す |
この3分類で効いてくるのは2段目です。手法は参考にするが、数字は比較対象にしない。遠い競合の数字を自社の目標値に使うと、達成不可能な基準を自分で設定することになります。
②3社の枠は、業界トップ・直接競合・憧れアカウント
競合3社の選び方には枠があります。業界トップ、直接競合、憧れアカウントの3つで埋めます。役割が違うので、同じ枠から3社選んではいけません。
- 業界トップ:市場でいま何が標準になっているかを見る
- 直接競合:顧客を取り合う相手。数字の比較対象はここだけ
- 憧れアカウント:業種が違ってもよい。表現の引き出しを増やすために見る
10社を浅く見るより3社を深く見る方が示唆が出ます。多く見るほど情報は増えますが、自社の方針は定まらなくなります。
③フォロワー数の差は、戦略の差ではないことが多い
焦りの正体はほとんどこれです。フォロワー数の差は先行投資の差であり、戦略の差ではないことが多い。運用歴も広告投下も予算規模も違う相手と絶対値で並べても、戦略判断の材料にはなりません。
揃えるべきは数字ではなく条件です。運用歴が同じくらいの相手、広告を出していない相手、同じ規模の体制で回している相手。条件を揃えて初めて、差が戦略の差として読めるようになります。
観察項目5つを固定する|頻度・テーマ・尺・反応・新企画
①毎回違う項目を見ると、月次で比較できない
観察項目は5つで固定します。固定する理由は、月次で比較するためです。今月は投稿頻度、来月はストーリーズの使い方、と見る項目が変わると、前月との差分が取れません。差分が取れない観察は定点観測ではありません。
| 項目 | 確認内容 | 自社への示唆 |
|---|---|---|
| 投稿頻度 | 月の本数・曜日・時間帯 | 自社の頻度と比較 |
| 投稿テーマ | コンテンツの柱・カテゴリ | 自社の柱との差分 |
| リール尺 | 平均尺・最頻尺 | 自社の尺の妥当性 |
| 反応傾向 | いいね・コメント・保存の比率 | 自社の弱い指標を特定 |
| 新企画 | 直近1か月の新フォーマット | 取り入れるか・対抗するか |
②項目ごとに、自社への示唆まで書く
表の右端の列が本体です。投稿頻度を数えただけでは何も決まりません。自社の頻度と比べてどうするのかまで書いて、はじめて1項目が終わります。
反応傾向の読み方だけ補足します。いいね・コメント・保存の比率を見ると、競合が強い指標と自社が弱い指標が分かります。保存が多いなら実用情報が効いている、コメントが多いなら問いかけが効いている、という具合に、数字の裏にある設計が見えます。
③着手前に確認する5項目
ここが埋まっていれば、ツールがなくても回ります。
- 競合候補を3〜5社に絞っているか
- 何を見るか(投稿頻度・伸び・テーマ・反応)が決まっているか
- 月1回の定点観測ルーチンがあるか
- 観察結果を自社施策に紐づけられているか
- 真似ではなく差別化のために見ているか
5項目のうち1つでも埋まらないなら、ツールの比較検討より先にそこを埋めます。
比較で見る4指標と、そこから分かること
①数字は単体では読めない
指標は「何が分かるか」とセットで持ちます。数字だけを並べた表は、眺めて終わる表になります。
| 指標 | 何が分かるか |
|---|---|
| 投稿頻度 | リソース投下量 |
| ENG率 | 実態の活性度 |
| 投稿テーマの一貫性 | 戦略の有無 |
| ストーリーズ運用 | 日常運用の体力 |
投稿テーマの一貫性は見落とされがちですが、競合の弱点が最も出る項目です。テーマがブレているアカウントは、戦略がないまま本数だけ出している可能性が高い。ここは自社が差をつけられる場所になります。
②フォロワー3万人より、500人が強いことがある
フォロワー3万人でENG率0.5%より、500人でENG率5%のアカウントの方が事業効果が高いこともあります。表面の数字ではなく、いいね数・保存数・コメントの熱量を見てください。
指標の読み違いそのものを直したい場合は、分析レポートで押さえておきたい数値も合わせて確認すると、自社側の見方から整理できます。
③ツールは、最初はいらない
最初から契約しないでください。手動で回る体制を先に作ります。
| ツール | 強み | 弱み | 推奨対象 |
|---|---|---|---|
| Instagramの手動観察 | 無料・任意のアカウント | 数値の一覧化に時間 | 個人〜小規模 |
| 自作スプレッドシート+手動 | 完全カスタマイズ可能 | 工数がかかる | 小〜中規模 |
| Iconosquare | 競合の数値を自動集計 | 月額費用 | 中規模以上 |
| Brand24 | SNS言及のソーシャルリスニング | SNS分析特化ではない | 中規模以上 |
| Socialbakers | 業界ベンチマーク豊富 | 大企業向け価格 | 大企業 |
最初の一手は自作スプレッドシートと手動観察で十分です。月1時間の定点観測で、十分な示唆が得られます。ツールが必要になるのは、見る項目が固定され、月次のルーチンが回り始めてからです。
誤った比較の3パターンと、フォロワー数の差の読み方
①焦りの相談は、ほぼこの3つのどれか
| パターン | 起きていること |
|---|---|
| 絶対値だけで比較している | 運用歴・広告投下・予算規模が違う相手と並べている |
| 数字の中身を見ていない | フォロワー数だけ見て、ENG率・コメント熱量を見ていない |
| ターゲットがずれた競合と比べている | 商圏も価格帯も顧客層も違う相手を同じ業種だからと比較している |
3つとも、比較の前の仕分けと観察項目の固定で防げます。逆に言えば、この2つをやらずに数値だけ集めると、必ずこのどれかに落ちます。
②即日・1週間・1か月で段取りに落とす
| 時期 | やること |
|---|---|
| 即日 | 競合候補を3社に絞る(業界トップ・直接競合・憧れアカウント)/観察項目を5つに固定する/定点観測シートを作る/競合リストを真の競合・遠い競合・無関係に分類する |
| 1週間以内 | 競合3社の過去1か月の投稿を一覧化する/競合の勝ち投稿(高反応)を3本ピックアップする/競合の弱点(一貫性のなさ・テーマのブレ)を1つ見つける/真の競合3社のENG率を自社の現在値と比較する/自社にしか出せない切り口を3つ書き出す |
| 1か月 | 月次の競合分析レポートを作成する/自社の月次レポートに競合比較セクションを追加する/競合との差別化施策を毎月1つ実行する/真の競合の動きだけ抽出して比較する仕組みにする |
1週間以内の工程に「競合の弱点を1つ見つける」を入れているのが要点です。良いところだけを見ると、真似の方向にしか進みません。弱点を見つけると、自社が取れる場所が見えます。
③月次レポートに、競合比較セクションを足す
1か月の工程で作った競合比較は、自社の月次レポートに差し込みます。自社の数値だけを並べたレポートは「増えた・減った」で終わりますが、競合比較が入ると「市場全体が落ちているのか、自社だけが落ちているのか」が分かります。
報告の型そのものを整えたい場合は、SNS報告が経営層に響かない理由で、売上と接続する並べ方を確認してください。
真似してよい範囲と、世界観が薄まる境界線
①取り込むのは狙いまで。表現は自社の言葉に置き換える
観察の結果を投稿へ移すとき、境界を決めておきます。
- フォーマットの構造は参考にできる。尺・章立て・冒頭の作り方は共通言語になる
- 勝ち投稿の狙いは分解して取り込む。表現ではなく狙いを移植する
- 投稿フォーマットをそのままコピーしない。世界観の薄まりを生む
- 競合がやっているからという理由でキャンペーンを乱発しない
- 数字差を埋めるために予算を一気に投下しない
競合の真似は世界観の薄まりを生み、独自性を失う最大の原因になります。型と内容の線引きをさらに細かく決めたい場合は、競合の真似から抜ける方法で差別化の手順まで追えます。
②やってはいけない6つ
- 競合の数値を眺めて「すごいなあ」で終わる。施策に翻訳されない
- 競合の投稿をそのまま真似る。自社の世界観が崩れる
- 競合を多く見すぎる。自社の方針が定まらなくなる
- 競合の良いところだけ見る。弱点を見落とす
- 競合分析の結果を社内共有しない。ナレッジ化されない
- 絶対値だけで比較して焦る。運用歴と広告投下の差を無視している
5つ目を軽く見ないでください。1人の頭の中にしかない競合理解は、担当者が変わった時点で消えます。シートに残し、月次の共有に載せるところまでが作業です。
③競合分析そのものを、運用として測る
| 指標 | 改善の目安 |
|---|---|
| 月次競合分析の実施率 | 100%(毎月実施) |
| 競合分析から自社施策への転換率 | 月1施策以上 |
| 競合との差分理解度 | 5項目すべてで言語化 |
| 競合分析にかかる時間 | 月1時間以内 |
転換率を見る理由は、分析が目的化していないかを確認するためです。実施率100%でも転換率0なら、そのルーチンは止めた方がよいことになります。
運用サイクルの点検項目は次の6つです。
- 競合を3社に絞り、真の競合・遠い競合・無関係に分類しているか
- 観察項目5つ(頻度・テーマ・尺・反応・新企画)を固定しているか
- 月1回、1時間以内の定点観測ルーチンを回しているか
- 競合の勝ち投稿3本と弱点1つを毎月拾えているか
- 観察結果を自社施策に翻訳し、月1施策以上を実行しているか
- 競合との差分を5項目すべてで言語化できているか
よくある質問
①競合は何社見ればよいか
3〜5社に絞ります。10社を浅く見るより3社を深く見る方が示唆が出やすいためです。枠は業界トップ、直接競合、憧れアカウントの3つで埋めます。社数を増やすほど情報量は増えますが、自社の方針は定まらなくなります。
②何を見ればよいか
観察項目を5つに固定します。投稿頻度、投稿テーマ、リール尺、反応傾向、新企画の5つで、それぞれ自社への示唆まで書きます。項目を毎回変えると月次で比較できなくなるため、固定することそのものが目的です。
③競合のフォロワー数が桁違いで焦る
フォロワー数の差は先行投資の差であり、戦略の差ではないことが多いです。運用歴・広告投下・予算規模を揃えずに並べても判断を誤ります。3万人でENG率0.5%より、500人でENG率5%の方が事業効果が高いこともあります。
④有料ツールは必要か
最初は自作スプレッドシートと手動観察で十分です。月1時間の定点観測で示唆は得られます。競合の数値を自動集計したいならIconosquareが中規模以上向け、業界ベンチマークが要るならSocialbakersが大企業向けになります。