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SNS素材の著作権・肖像権対応|指摘から24時間で決める手順と素材8区分
最終更新日 2026年10月21日(Wed)
記事作成日 2026年10月21日(Wed)

著作権侵害の指摘を受けたら、削除ではなく一時非公開にし、24時間以内に事実認定まで進めます。素材のリスクは8区分で異なり、同じ対応では捌けません。削除してしまうと証跡ごと消え、後から事実を説明できなくなります。即答できない原因は担当者の注意力ではなく、撮影写真・購入画像・無料素材・他社素材が混ざったまま出所メモがない運用にあります。この記事では、指摘から1時間・24時間・1週間で何をやるか、素材8区分のリスクをどう仕分けるか、そして自社撮影でも残る肖像権の扱いまでを、実務の手順として整理します。
目次
執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、 SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。
著作権の指摘に即答できない理由|素材の出所管理という構造
①出所と証跡が残っていない投稿は、侵害の有無を自社で判定できない
権利者からメッセージが届く。該当投稿を開く。誰が撮った写真か思い出せない。購入履歴も残っていない。担当者はすでに代わっている。反論の材料がないまま時間だけが進む——著作権の指摘で止まるアカウントは、たいていこの形で止まります。
原因は素材の出所管理です。撮影写真、購入画像、無料素材、他社素材。これらが混在したまま運用されている状態で、過去投稿に出所メモを付けない運用が続くと、指摘を受けた瞬間に何も答えられません。侵害があったかどうかを、自社で判定できない状態になります。
著作権対応の勝負は、指摘が来る前についています。素材ごとに出所を残す運用があれば、指摘から24時間以内に事実認定まで到達できます。
②原因は3つに収束する
個人の注意力の問題として処理すると再発します。即答できない原因は、次の3つに収束します。
| 原因 | 中身 |
|---|---|
| 素材の出所管理が雑 | 撮影写真・購入画像・無料素材・他社素材が混在し、出所を辿れない |
| 商用利用条件を読まずに使用 | 無料素材サイトにも商用利用不可のものがある。規約を読まずに使った |
| 音源・キャラクター・写真の無断使用 | ネット上で見つけたを理由に転載した素材は、ほぼ全て著作権侵害になる |
「ネット上で見つけた」を理由に転載した素材は、ほぼ全て著作権侵害になります。見つけられること自体は、使ってよいことの根拠になりません。
③潰すのは担当者の注意力ではなく、運用の設計
3つとも、運用の設計で潰せます。投稿予定表に「素材の出所」という列を1つ足すだけで、1つ目は消えます。無料素材を使うときに利用規約の確認を工程に入れれば、2つ目も消えます。
口頭注意で済ませると、担当者が交代した時点でルールごと消えます。引き継ぎで崩れない運用の作り方はSNS運用の引き継ぎ設計でも整理しています。
まず確認する5点|反論より事実認定が先
①指摘を受けた直後に確認する5点
事実確認を最優先にします。本当に侵害があったのかを見極めてから動きます。確認するのは次の5点です。
- 指摘内容。具体的な投稿・素材・権利者の主張
- 該当素材の出所。自社制作・購入素材・フリー素材・転載のどれか
- 使用許諾の証跡。契約書・購入履歴・ライセンス
- 指摘者の権利保有の根拠
- 同種の他投稿にも同じ問題があるか
5点目を外さないことが重要です。該当1本だけを見て終わらせると、同じ素材を使った別の投稿が次の指摘になります。
②出所と証跡の2つが答えられない時点で、判定はできない
5点のうち出所と証跡の2つが答えられない時点で、侵害の有無を自社で判定できません。判定できないまま反論すると、後で事実が覆ります。
つまりこの5点は、指摘を受けてから集める情報ではありません。出所と証跡は、投稿した日に残しておくものです。残っていれば数分で埋まり、残っていなければ何時間かけても埋まりません。
指摘者が本当に権利を持っているのかという確認も、同じ場面で必要になります。主張の根拠を確かめないまま削除や謝罪に進むと、事実と違う前提で対応が固まります。確認と対応は同時に進めるものであり、確認が終わるまで何もしない、という意味ではありません。露出を止める措置は先に打ちます。
③反論から入らない。相手が求めているのは勝ち負けではない
反論よりも、事実認定と再発防止策の提示が信頼回復につながります。相手が求めているのは勝ち負けではなく、止まることと繰り返さないことです。
権利者の主張の当否が判断できない場合は、自己判断で反論せず、弁護士・著作権専門家に相談します。自己判断での反論は、法的措置に発展する余地を広げます。
素材種別8区分のリスク表|どこから使ってよいかを仕分ける

①素材は8区分。リスクと対応を1枚で共有する
素材は種別ごとにリスクが違います。ここを1枚の表で社内に共有しておくと、使う前の判断が速くなります。
| 素材種別 | リスク | 対応 |
|---|---|---|
| 自社撮影写真 | 低(被写体の肖像権は別途確認) | 通常使用可 |
| 購入したストックフォト | 低(ライセンス条件を遵守) | 商用利用可の確認 |
| 無料素材サイト | 中(規約次第) | 利用規約を必ず確認 |
| 他社・他者の画像転載 | 高 | 許諾なしは原則NG |
| 著名キャラクター・芸能人写真 | 極めて高い | 商用利用は原則NG |
| 市販楽曲(音源) | 高 | 著作権処理が必要 |
| トレンド音源(Instagram提供) | 低(商用利用条件を確認) | プロアカウントの条件確認 |
| AI生成画像 | 中(ライセンス次第) | 商用利用条件を確認 |
②低リスクの3区分でも、確認事項は残る
低に分類されるのは、自社撮影写真、購入したストックフォト、Instagram提供のトレンド音源の3つです。ただし3つとも無条件ではありません。
自社撮影写真は被写体の肖像権を別途確認します。購入したストックフォトはライセンス条件の遵守が前提です。トレンド音源はプロアカウントの商用利用条件を確認します。低リスクとは「確認が不要」という意味ではなく、「確認すべき点が限定されている」という意味です。
③中・高・極めて高いの3段は、使う前に判断を分ける
無料素材サイトとAI生成画像は中です。どちらもライセンス・規約次第なので、使う前に商用利用の可否を確認します。無料素材サイトにも商用利用不可のものがあります。
他社・他者の画像転載と市販楽曲は高です。転載は許諾なしでは原則NG、市販楽曲は著作権処理が必要になります。
著名キャラクター・芸能人写真は極めて高いリスク帯で、商用利用は原則NGです。ここは「少しなら」の判断を入れる場所ではありません。
指摘から1時間以内の4手順|削除ではなく非公開にする理由

①最初の1時間でやる4つ
最初の1時間で、その後の展開がほぼ決まります。次の4つを順に進めます。
- 指摘内容と該当投稿のスクリーンショットを保存する
- 該当素材の出所を確認する。契約書・購入履歴・自社制作のいずれか
- 該当投稿を一時的に非公開にする
- 経営層・上長に報告する
炎上に発展している場合は、コメント対応と権利者対応を切り分け、権利者対応を先に置きます。炎上そのものの初動はSNS炎上・誤投稿・なりすましの初動対応で整理しています。
②削除ではなく非公開にする。削除すると証跡ごと消える
ここが最も間違えやすい分岐です。削除すると証跡ごと消えます。投稿内容もコメントも残らないため、後から事実を説明できなくなります。
非公開なら、投稿内容とコメントを保持したまま露出だけ止められます。事実認定の材料を残しながら、拡大を止める。これが削除ではなく非公開を選ぶ理由です。
③経営層・上長への報告を、同じ1時間の中に入れる
報告を「事実が固まってから」に後ろ倒しすると、判断が必要になった時点で決裁が間に合いません。スクショ保存・出所確認・非公開と同じ1時間の中に、報告まで入れておきます。
誰が投稿でき、誰が判断するかをあらかじめ決めておく話はSNS運用のガバナンスと承認フローにまとめています。
24時間以内と1週間以内|事案収束と再発防止を分ける
①時間軸で3段に分けて持つ
事案の収束と再発防止は別作業です。混ぜると、どちらも中途半端になります。時間軸で3段に分けます。
| 期限 | やること |
|---|---|
| 即日・1時間以内 | スクショ保存/出所確認/該当投稿の一時非公開/経営層・上長へ報告 |
| 24時間以内 | 法務確認のうえ権利者へ事実確認と謝罪/許諾取得か削除かの判断/同種素材を使った過去投稿の全件チェック/必要に応じて専門家へ相談 |
| 1週間以内 | 出所メモと購入履歴の保管ルール整備/商用利用可能な素材サイトの社内リスト化/再発防止策のマニュアル化 |
②法務確認の前に謝罪を送らない
権利者への連絡は法務確認の後に出します。順序を逆にすると、謝罪が責任の認定として扱われる余地を残します。
24時間以内には、該当素材の使用許諾を取得するか削除するかの判断まで進めます。あわせて、同種の素材を使った過去投稿を全件チェックします。該当1本だけを直して他を放置すると、次の指摘がすぐ来ます。
③1週間以内に、仕組みまで作る
1週間で手を付けるのは3つです。素材の管理ルール(出所メモと購入履歴の保管)、商用利用可能な素材サイトの社内リスト、再発防止策のマニュアル。
とくに出所メモは効きます。投稿ごとに素材の出所を1行残す。自社制作か、どのサイトでいつ購入したか。この1行の有無が、次の指摘への応答速度を決めます。
④改善後に見る4つの指標
対応が仕組みになったかどうかは、次の4指標で測ります。
| 指標 | 改善の目安 |
|---|---|
| 指摘から対応完了までの時間 | 24時間以内 |
| 素材管理ルールの整備 | 全カテゴリで明文化 |
| 同種事案の再発件数 | ゼロ |
| 商用利用可素材リストの整備 | 社内共有完了 |
指標は結果の確認です。日々の運用では、次の6点をチェックリストとして回します。
- 投稿ごとに素材の出所を1行メモとして残しているか
- 無料素材は商用利用の可否を利用規約で毎回確認しているか
- 購入素材のライセンス条件と購入履歴を保管しているか
- 自社撮影写真の被写体から肖像利用の許諾を取っているか
- リール音源が公式提供の商用利用可のものか確認しているか
- 商用利用可の素材サイト社内リストを更新し共有しているか
6点とも、投稿する側が投稿するときにやる作業です。指摘を受けてから着手する作業はこの中にありません。再発件数がゼロで止まっているかどうかは、このチェックが回っているかどうかとほぼ同じことを見ています。
音源と肖像権|自社撮影でも安全ではない領域
①音源は提供元で扱いが分かれる
音楽と人物は、著作権の外側にもう一層あります。まず音源です。
| 音源の種類 | リスク | 確認すること |
|---|---|---|
| 市販楽曲(音源) | 高 | 著作権処理が必要になる |
| トレンド音源(Instagram提供) | 低 | プロアカウントの商用利用条件を確認する |
公式が提供している音源でも、商用利用の条件はアカウント種別によって変わります。プロアカウントで運用している場合は、その条件を確認してから使います。
②自社撮影写真でも、被写体の肖像権は別に立つ
自社撮影写真のリスクが低いのは、著作権の話です。被写体の肖像権は別に立ちます。
社員・来店客・通行人の映り込みは、個別に確認します。「自社で撮ったから安全」は半分だけ正解で、人物が写っていれば肖像の確認がもう一段必要になります。著名キャラクター・芸能人写真の商用利用は原則NGで、ここにはパブリシティ権も重なります。
AI生成画像はライセンス次第です。生成したものだから自由に使える、とは限りません。商用利用条件を確認します。
③判断に迷うときの線引き|社内で抱える範囲を決めておく
著作権は専門領域です。どこまでを社内で判断し、どこから外に出すかを、事案が起きる前に決めておきます。
- 権利者の主張の当否が判断できない場合は、弁護士・著作権専門家に相談する
- 自己判断で反論すると、法的措置に発展する余地を広げる
- 炎上に発展した場合はコメント対応と権利者対応を切り分け、権利者対応を先に置く
相談の線引きを決めておくと、現場が「相談してよいのか」で迷う時間が消えます。24時間以内の対応項目には、必要に応じた専門家相談がもともと含まれています。例外的な手当てではなく、標準の工程として置いておくものです。
④やりがちな間違い5つ
対応の側で新しい火種を作るケースが少なくありません。次の5つは避けます。
- 「ネット上で見つけた」を言い訳にして反論する
- 指摘を無視して放置し、法的措置に発展させる
- 該当投稿だけ削除して、同種の他投稿は放置する
- 素材管理ルールを整備せず、同じ問題を繰り返す
- 弁護士相談を避けて、自己判断で対応する
広告表示の線引きで迷う場面も同じ構造です。判断基準を事前に持っておく話はステマ規制の判断基準もあわせてご覧ください。
よくある質問
①指摘を受けたら、まず削除すべきですか?
削除ではなく一時非公開です。削除すると証跡が消え、事実認定と説明ができなくなります。非公開で露出を止め、スクリーンショットを保存したうえで出所確認に進みます。1時間以内に経営層へ報告するところまでを即日の範囲とします。
②無料素材サイトのものなら使ってよいですか?
規約次第です。無料素材サイトにも商用利用不可のものがあります。リスク区分は中です。利用規約を必ず確認し、商用利用可の素材サイトを社内リスト化して、そこから選ぶ運用にします。
③自社で撮影した写真なら問題ないですか?
著作権上のリスクは低いですが、被写体の肖像権は別途確認が必要です。自社撮影写真が低リスクなのは著作権の話であり、人物が写っていれば肖像の確認が別に立ちます。
④どの時点で弁護士に相談すべきですか?
権利者の主張の当否を自社で判断できない時点で相談します。24時間以内の対応項目にも、必要に応じた専門家相談が入っています。自己判断で反論する対応は、やりがちな間違いとして明示されています。