コラム

企業のブランドイメージを守るSNS運用戦略|一貫性と管理体制の構築方法

最終更新日 2025年7月2日(Wed)

記事作成日 2025年7月2日(Wed)

SNS運用において、ブランドイメージとの乖離や炎上リスクに不安を感じたことはありませんか?

SNSは企業の価値観やブランドイメージが如実に表れる場であり、投稿内容がユーザーの印象を大きく左右します。

実際、投稿デザインの雰囲気や言葉遣いといった部分で「このブランド、ちょっと雑だな」と思われてしまう恐れも。

そのため、担当者のセンスに頼るのではなく、企業としてどのような見られ方を望むのか、しっかり擦り合わせることが大切です。

この記事では、SNSにおけるブランドイメージ管理のノウハウをお伝えします。

「アカウントをただ動かす」から「ブランドイメージを育てる」フェーズへと進んでいきましょう。

SNS運用でブランドイメージを管理すべき理由

SNSは、運用担当者の人柄や企業の価値観が現れる場所です。投稿の雰囲気で、ブランドのイメージが大きく変わります。

このようなブランドイメージを意識したSNS運用がなぜ重要なのか、3つの視点から解説します。

 

1.ユーザーはSNSで企業を初めて知るから

ユーザーと企業の初めての接点がSNSである場合が多くなりました。そしてSNSでの最初の印象はブランドイメージに直結します。

たとえばユーザーが企業アカウントの投稿をタイムラインで目にした時、きちんとブランディングができていないと「本当に信頼できる会社?」と感じて、関心を持たれずにスルーされてしまう可能性があります。

だからこそSNSは、第一印象を左右する「ブランドの顔」として、丁寧に運用することが大切です。

 

2.投稿にブランドの世界観がそのまま映るから

  • 写真の色
  • 言葉遣い
  • フォント
  • 絵文字

あらゆる要素が「そのブランドらしさ」を作ります。

仮にラグジュアリーなファッションブランドが、急にカジュアルな絵文字を多用しては、販売する商品とチグハグになってしまいます。投稿を見たユーザーも「期待していたイメージと違う」とがっかりするかもしれません。

SNSはブランドの価値観を伝える「無言のメッセージ」でもあるのです。だからこそ、細部まで意図を込めてイメージを整えましょう。

 

3.共感でつながる時代だから

最近のユーザーは、企業の思いに共感してファンになります。「有名だから」「見た目が綺麗だから」というだけでは、フォローなどの行動をなかなか起こしません。

「なんだか自分のことを分かってくれている気がする」そんな親近感や信頼感を持ってもらえる発信が、SNSでの共感を生みます。

共感によって「単なる商品」ではなく「このブランドから買いたい」という意識が生まれるでしょう。

 

SNSにおけるブランドイメージの設計方法

ただ運用するのではなく、「どんなブランドに見られたいか」を明確にしたうえでの発信を目指しましょう。

次の3ステップを順に考えると、SNSでのブランドイメージがある程度洗練されます。

 

ステップ1.ブランドイメージを整理する

まずは「どう見られたいのか」を言語化しましょう。

同じ食品ブランドでも

  • 親しみやすく、日常に寄り添う存在
  • こだわりを貫く、専門ブランド
  • 新しい食のスタイルを提案

では、発信する言葉も写真の雰囲気も変わってきます。

【ワークで考えてみよう!】

①このブランドを一言で表すなら?
(例)信頼感/親しみやすさ/洗練/遊び心/誠実さなど

②SNSで「こう思われたい!」という理想の印象は?
(例)「丁寧な対応をしてくれそう」「価値観に共感できるブランド」など

③逆に、絶対に避けたい印象は?
(例)安っぽい・冷たい・どこかのパクリっぽいなど

 

ステップ2.トーン・マナーを定義する

トンマナ(トーン&マナー)設計は、ブランドイメージを一貫して伝えるための重要な要素であり、語り口調や表現方法を明確に定義することが求められます。

同じ情報でも、絵文字を使ってフランクに伝えるのか、専門性重視で丁寧に書くのかで、印象は変わるでしょう。

【ワークで考えてみよう!】
※理想に近い投稿例を集めておくとイメージしやすいです

①言葉づかいの方向性は?
✔️カジュアル(例)〜だよ!〜してね!
✔️フォーマル(例)〜となります、ご確認ください
✔️丁寧だけどきちんと(例)〜してみました!、よろしければご参考ください◎

②絵文字や記号の使い方は?
✔️積極的に使う
✔️控えめに使う
✔️一切使わない

③ビジュアルの印象は?
✔️やさしい
✔️高級感
✔️かわいい
✔️クール

 

ステップ3.投稿コンテンツの方向性を定める

「ブランドらしさ」を言語化できたら、それをどんな形で発信していくかを設計していきましょう。

発信テーマがバラバラだったり、投稿のリズムが曖昧だったりすると、ユーザーに「何を届けたいアカウントなのか」が伝わりません。

【ワークで考えてみよう!】

①どんなテーマで発信したい?
✔️ブランドの強みや価値観に沿ったテーマ案を3〜5テーマほど洗い出してみましょう
(例)ユーザーの声、豆知識系、開発の裏話など

②投稿の構成はどんな形式にする?
(例)1投稿完結型:1枚または数枚で内容が完結する投稿
(例)シリーズ型:1つのテーマを複数回に分けて投稿(◯日連続投稿、毎週◯曜に発信など)

③どのくらいの頻度で発信する?
✔️週1・月10など、リソースに無理のないペースで頻度を決めましょう
(例)毎週火曜・金曜など

 

ステップ4.見せ方を統一する

トーンや投稿の方向性が定まっていても、その都度の感覚でデザインや言い回しを決めていると、ブランドイメージがブレてしまいます。

特に、SNS担当が変わったり、複数人で運用していたりする場合、ルールがないと統一感が不十分になることも。

誰が投稿しても同じ印象を再現できる状態に整えましょう。

【ワークで考えてみよう!】

①デザインのテンプレ化
✔️フォント
✔️テーマカラー・アクセントカラー
✔️あしらい
✔️写真や画像の雰囲気

②構成のテンプレ化
→1枚目に◯◯、2枚目に◯◯といった簡単な構成を決めておく

③細かな表現ルール
✔️タイトルの構成や文字数
✔️よく使う絵文字・使わない絵文字
✔️キャプションでの定型文

 

SNSのブランドイメージを守る管理体制の作り方

ブランドイメージを維持・強化するには、SNS運用体制の整備が不可欠です。運用マニュアルの作成や承認フローの確立により、炎上リスクを最小限に抑えることができます。

ポイントは、誰が担当しても同じ基準で運用できる仕組みを作ることです。

 

1.運用マニュアルの整備

「何を、どう運用すればいいのか」をマニュアル化することで、担当者の迷いが減るだけでなく、ブランドイメージのブレも起こりにくくなります。

【運用マニュアルに入れるべき項目例】

  • 目指すべきブランドイメージの共有
  • 投稿作成のフロー(企画→原稿作成→チェック→投稿)
  • 画像や動画の作成ルール
  • トンマナ
  • 投稿タイミング
  • NG例(炎上リスクのある表現、避ける話題など)

すでにマニュアルをお持ちの企業でも、現状に即した内容になっているか、半期に一度など改訂の機会を作りましょう。

 

2.承認フローの整備

企業アカウントでは、たった1投稿で炎上が起きることも珍しくありません。「投稿後に気づいた」「社内チェックを飛ばしていた」といったトラブルが起きないように、承認フローと責任の所在を考えておきましょう。

【SNS投稿の承認体制例】

①原案作成(担当者・運用チーム)
✔️企画の提案時点で承認を仰ぐ→一次確認へ
✔️クリエイティブが完成したら承認を仰ぐ→一次確認へ

②一次確認(チームリーダーや広報担当)
✔️誤字脱字、炎上リスク、ブランドイメージとの整合性などを確認。

③最終確認(上長やブランド責任者)

 

3.投稿のチェック項目をルール化

承認フローがあっても、「何をもってOKとするか」が曖昧では、チェックの質に差が出てしまいます。

投稿前に確認すべき観点をリスト化し、誰が見ても同じ基準でチェックできる状態を作りましょう。

「なんとなく問題なさそう」で進めず、判断の根拠を決めておくことが大切です。

【チェック項目の例】

  • 誤字脱字はないか
  • 攻撃的・差別的ととられる表現がないか
  • ブランドイメージとトンマナにズレがないか
  • 個人情報や未発表情報が含まれていないか
  • 著作権・肖像権を侵害していないか(画像・音楽・引用など)
  • タイミング的に不適切な話題でないか(事件・災害との関連など)
  • ステマ規制・薬機法などの法令に抵触していないか

 

4.CS対応ルールの決定

SNS上では、投稿内容だけでなく、ユーザーからのコメント・DMに対する対応もブランド体験の一部になります。特にクレームや不安の声にどう向き合うかは、ブランドへの信頼に直結する重要なポイント。

電話やメールと違って、SNSは公開の場であり、返信スピードも期待されます。

【具体的な運用ToDo】

  • よくある問い合わせ・よくあるクレームへの返信テンプレートを用意
  • コメントの削除・非表示・返信の可否などの判断を基準を作る
  • ユーザー対応を運用チームとCSのどちらが担当するのか決める
  • クレームやトラブルの共有場所を作る

 

5.炎上対応体制の整備

SNSを丁寧に運用しても、炎上を100%防ぐことは難しいでしょう。炎上が起きた際にどう動くかをあらかじめシミュレーションし、いざという時に迅速に対応できるよう準備することをおすすめします。

【決めておくと良いこと】

①炎上の判断基準
(どのラインで炎上と見なすのか)

②対応フロー
✔️誰が事実確認を行い
✔️誰に報告し
✔️どの部門で対応するか

③一次対応のテンプレート
(謝罪・訂正・説明など、状況に応じた対応例を用意しておく)

④メディア対応・二次被害の防止
(取材依頼への対応や、別媒体に炎上が広まった際の対応)

 

6.困った時に相談先できる体制の強化

マニュアルやルールを整備していても、初めてのケースに出会うことが多いでしょう。「炎上の兆候に気づいたけれど判断に迷う」「反応に困るコメントがついた」といった際に外部のプロに相談できる体制を持っておくと、ブランドを守るためのアイデアをもらえます。

社内だけで結論を急がず、プロの意見を仰げる体制があることが理想的です。

【相談先の例】

  • SNS専門の代理店やコンサル企業
    →ブランディングの長期的なサポートも依頼できる
  • 法律事務所(SNS・広報対応に強い弁護士)
    →マニュアル整備や施策考案の際に法的なリスクのチェックを頼める
  • SNSの問い合わせ窓口
    →SNSごとのルール確認やアカウント制限を受けた際の状況確認ができる

リデルにも、SNS・インフルエンサーマーケティングのご支援で培ったきたノウハウがあります。SNSを用いたブランディングサポートも、ブランドイメージを守るための炎上対策も提供していますので、お困りごとがあればぜひ一度ご相談ください。

 

ブランドを守るためのインフルエンサー戦略

SNSでのブランドイメージは、企業アカウントの投稿だけで決まるものではありません。

インフルエンサーやアンバサダーといった第三者の発信も、ユーザーはブランドの印象の一部として受け取ります。

そこでここでは、インフルエンサーを起用する際に押さえておきたい「ブランドを守るための視点」を紹介します。

 

1.影響力よりも「ブランドとの親和性」を優先する

インフルエンサーを起用する際は、フォロワー数や話題性だけでなく、ブランドイメージや価値観との親和性を重視することが重要です。

落ち着いたイメージを大切にするブランドが、テンションの高い投稿スタイルのインフルエンサーに依頼すれば、ユーザーに違和感を与える恐れがあります。

過去の言動やフォロワーとの接し方が原因で炎上リスクが高まるケースも少なくありません。

インフルエンサーを起用する際は次のような視点で慎重に選定しましょう。

  • フォロワーの属性と質(自社のブランドイメージが響く層か)
  • 投稿スタイル(自社のトンマナと合うか)
  • 他企業とのコラボ実績(コラボ相手に合う投稿を作れているか)

 

2.起用時にブランドイメージを共有する

インフルエンサー施策では、相手に任せきりにしないことが大切。どれだけ相性の良いインフルエンサーでも、企業が伝えたいイメージを正確に汲み取れるとは限りません。

起用時には以下のような情報をしっかり共有し、投稿内容のズレを防ぎましょう。

  • ブランドの世界観やこれからのビジョン
  • 投稿の目的や狙いたい感情
  • 強調してほしいポイント
  • 避けたい表現
  • 構図や雰囲気などの撮影イメージ

万が一、完成したクリエイティブが想定と異なる場合に備えて、事前にチェック体制や修正対応のルールも共有すると安心です。

 

3.責任範囲を明確化する

投稿後のトラブルや炎上リスクも見据えて、誰が・どこまで責任を持つのかを明確にしておくことが重要です。

  • 投稿内容の確認・修正をどの段階で誰が行うのか
  • 想定外の投稿が公開された場合、修正や削除の判断は誰が下すのか
  • 炎上や批判コメントが発生した際の初動対応と報告フローはどうするか

このような項目を事前にすり合わせることで、緊急時にもお互いがスムーズに動けます。

また、対応方針や責任範囲は契約関係の書類中に説明を盛り込んでおきましょう。

 

SNSでブランドイメージを管理・強化した企業事例

土屋鞄製造所様_リデルと取り組んだ理由

ランドセルブランド「grirose(グリローズ)」の公式Instagramでは、「どんなブランドに見られたいか」を丁寧に設計し、発信や施策に落とし込みました。

まず、ブランドイメージは「ときめき」「憧れ」。子ども用でありながらも、大人の美的感覚にも響く洗練された世界観で、ビジュアル重視の投稿をしています。

そして「ときめき」「憧れ」を体験として伝えるため、インフルエンサーや著名人を招いたプレスデー(オフラインイベント)を年1回開催。オンライン(Instagram)とオフライン(プレスデー)の一貫した世界観設計により、体験を通じたファン形成に成功しました。

SNS上での基本的なブランディングはもちろん、オンラインで培ったイメージをオフラインの場にも再現したのです。

プレスデーを通じて、KPIとしていたInstagramのフォロワー数は155%増加、前年比250%増を達成。オンラインからオフライン、オフラインからオンラインへと双方向の認知拡大となっています。

 

まとめ

近年、SNSはユーザーとの最初の接点となり、企業のブランドイメージ形成に大きな影響を与えています。

タイムラインで見かけた際のたった数秒の印象で、企業のブランドイメージも決まってしまいます。担当者のセンス任せの発信から「意図を持った設計」へと進化させなければなりません。

まずは理想の姿と言葉を徹底的に言語化し、伝えたいブランドイメージを固めましょう。そして、誰が運用しても一貫性のあるイメージを伝えられるよう、マニュアルや対応フローを作り上げることが大切です。

とはいえ、SNSの第一印象を社内リソースだけで完璧に整えるのは容易ではありません。

リデルでは、トンマナ設計からインフルエンサー起用、炎上リスク対策までをワンストップで支援し、ブランドの顔とも言えるSNSを長期的に育てるお手伝いをしています。SNS運用に少しでも課題や不安を感じたら、ぜひ私たちにご相談ください。

https://influfect.com/influfect/

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