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SNS予測トレンド2026〜2030|10年史から読む次の一手と、いま仕込む6項目
最終更新日 2026年9月15日(Tue)
記事作成日 2026年9月15日(Tue)

SNSの10年は、動画化・短尺化・規制強化の3つが並走してきた10年でした。2026〜2030年に来るのは規制強化・AI統合・コミュニティ回帰の3大潮流で、短尺一辺倒からの揺り戻しとして中尺動画(1〜3分)の回帰も始まっています。この記事では2015年からの年表で流れを押さえたうえで、確実視されている5つの動きと不確実な5つの変化を確度つきで分け、いま着手すべき6項目まで落とし込みます。
目次
執筆:リデル株式会社 SNSマーケティングチーム
SNS・コミュニティマーケティング専門企業。上場企業を含む7,000社超の支援実績をもとに、
SNS運用・インフルエンサー施策の現場ナレッジを発信しています。
2015年から2026年までのSNS10年史年表
いま当たり前になっている機能には、それぞれ生まれた年がある。ストーリーズもリールもショッピング機能もステマ規制も、最初からあったわけではない。何がいつ生まれ、なぜ生まれたのかを並べると、次に来る変化が読みやすくなる。逆にここを知らないまま現行仕様だけを追いかけると、毎回後追いになる。
まずは2015年から2026年までの12年間を、1年ごとの転換点として一覧にする。単発の出来事に見えていたものが、並べると1本の線になる。
①2015〜2019年|写真から動画へ、数から質へ
この5年は、中心フォーマットが写真から動画へ移り、評価の物差しが揺れ始めた時期にあたる。2016年のストーリーズで「作り込んだ1枚」よりリアルタイム性が評価され、2018年のIGTVとTikTokの日本展開で縦型動画が現実の選択肢になった。そして2019年、いいね数の非表示テストが複数国で始まる。数を競う運用が前提から外れ始めたのがこの年である。
②2020〜2026年|短尺競争から滞在時間へ
2020年のコロナ禍で利用時間が急増し、2021年のリール日本リリースで短尺動画の競争が本格化した。2023年に生成AIが投稿制作の効率を変え、2024年には保存・シェアの重み付けが大幅に強化される。2025年のステマ規制法施行で法規制が実務に追いつき、2026年は滞在時間という隠れ指標の比重が増している。滞在時間シフトと外部リンクの扱いは、いまの運用設計に直結する論点である。
| 年 | 起きたこと |
|---|---|
| 2015 | Instagramの日本国内月間アクティブユーザーが800万人規模に到達。ハッシュタグ運用が主流化し「タグ職人」と呼ばれる運用者が登場。ステマ問題が一般メディアで取り上げられ始める |
| 2016 | Instagram Storiesリリース。24時間で消える形式が定着し始め、写真の作り込みよりリアルタイム性が評価され始めた最初の年 |
| 2017 | ライブ配信機能が各プラットフォームに実装。Instagram広告の出稿ハードルが下がり中小企業も参入。インフルエンサーマーケティングが産業として立ち上がる |
| 2018 | IGTVリリースで縦型長尺動画を試行。ショッピング機能がベータ開始。TikTokが日本市場で本格展開を開始し「映え」が流行語化 |
| 2019 | いいね数非表示テストが複数国で開始。インフルエンサー疲れが顕在化し、短尺動画の試行錯誤が各社で本格化 |
| 2020 | コロナ禍でSNS利用時間が爆発的に増加。TikTokが世界で最もダウンロードされたアプリに。ライブコマースが日本でも本格展開 |
| 2021 | Instagramリール日本リリース。ステマ規制議論が消費者庁で本格化。フォロワー数より発見タブ流入を狙う運用設計が標準化 |
| 2022 | BeReal登場。Instagramが動画一本化を発表。短尺動画の保存・シェア指標が重視され始め、クリエイターエコノミーという言葉が定着 |
| 2023 | Threads登場でテキストSNSが再評価。生成AIブームで投稿制作の効率が激変。ハッシュタグ評価が下がり始める |
| 2024 | 保存・シェア指標の重み付けが大幅強化。外部リンク埋め込みがペナルティ対象に。リールがフィード相当のリーチを獲得 |
| 2025 | 景品表示法改正でステマ規制法が施行。AI生成コンテンツの表示義務が国内で本格運用。ハッシュタグ数の推奨が5個程度に変更 |
| 2026 | 滞在時間という隠れ指標の比重が増す。外部リンク誘導ペナルティが強化。中尺動画(1〜3分)回帰の兆しが見え始める |
10年史の中の決定的な3つの分岐点
12年ぶんの年表をそのまま覚える必要はない。運用設計に直接効いたのは3つの年である。この3年を押さえれば10年史の骨格はつかめる。2019年で評価の物差しが揺れ始め、2024年で切り替わり、2025年で法規制が追いついた、という流れになる。
| 年 | 分岐点 | 意味 |
|---|---|---|
| 2019 | いいね数非表示テスト | 数の競争から質の競争への分岐点。ここで評価軸の見直しが業界全体に広がった |
| 2024 | 保存・シェア重視への転換 | いいね中心から保存・シェア中心への評価軸転換が決定的になった年。ここで運用設計を変えられなかったアカウントの多くが翌年伸び悩んだ |
| 2025 | ステマ規制法の施行 | 景品表示法改正により、広告表記が運用フローの前提条件になった |
①2019年|数の競争から質の競争へ
いいね数の非表示テストは、機能変更としては小さい。しかし「見えている数字で競う」という前提が業界全体で揺らいだ点が大きい。ここから、フォロワー数や反応数だけを追う運用が少しずつ通用しなくなっていく。
②2024年|対応できたかどうかで翌年が割れた
保存・シェアへの評価軸転換は、3つの中でもっとも実務に響いた。いいねを取りにいく企画と、保存される企画は設計が違う。ここで運用設計を変えられなかったアカウントの多くが、翌年に伸び悩んだ。
③ステマ規制法は「運用フローの前提条件」になった
2025年の施行以降、広告表記は「気をつけること」ではなく「フローに組み込むこと」に変わった。担当者の判断に委ねている状態は、そのまま違反リスクとして残る。
10年で変わらなかった4つのこと

変わったものを列挙するより、変わらなかったものを特定するほうが実務では効く。次にどこへ投資するかを決める軸になるのは、10年間動かなかったほうだからである。
| 観点 | 変わらない事実 |
|---|---|
| 評価軸 | ユーザーが時間を使う価値があるかどうか |
| 信頼形成 | 一貫した発信を続けたアカウントが残る |
| バズ | 再現性のあるバズは存在しない |
| ターゲット理解 | ペルソナを言語化できる運用者が強い |
①表面の戦術は変わり続けたが、評価軸は1本しか動いていない
写真からストーリーズへ、ストーリーズからリールへ、短尺から中尺へ。表面の戦術は10年で何度も入れ替わった。それでも根幹の評価軸は「ユーザーが時間を使う価値があるか」の一本で動いている。いいねが保存になり、保存が滞在時間になったのは、その一本をより正確に測ろうとした結果にすぎない。
②再現性のあるバズは存在しない、という前提を持つ
10年で無数のバズが生まれたが、同じ手順で再現できたものはない。バズを目標に据えると、当たらなかった月の打ち手がなくなる。目標に置くべきは、一貫した発信を続けられる体制と、言語化されたターゲット像のほうである。SNSの効果を社内でどう説明するかも、この前提の上に立つ。
2026〜2030年に来る3大潮流
ここから2026〜2030年の5年間は、規制強化・AI統合・コミュニティ回帰の3軸が大きな潮流になる。短尺一辺倒からの揺り戻しで、中尺動画(1〜3分)と長文コンテンツも再評価される見込みである。
| 軸 | 中身 |
|---|---|
| 規制強化 | AI生成コンテンツの表示義務、ステマ規制の運用厳格化 |
| AI統合 | 生成AIによる投稿制作の効率化と、自動投稿の一般化(確度は中)。それに伴う表示ルールの整備 |
| コミュニティ回帰 | 広く届けるから、狭く深く届けるへの揺り戻し |
①規制強化とAI統合は同時に進む
この2つは別の話に見えて、実際には同じ流れの表と裏である。生成AIで投稿を作る効率が上がるほど、それを表示するルールの整備が要る。AIで作った投稿にAI表示を付けるかどうかを運用フローに組み込まないと、規制違反のリスクがそのまま残る。個人の判断に委ねず、社内ルールを早めに文書化しておく必要がある。
②コミュニティ回帰は「広く」から「狭く深く」への揺り戻し
オープンなSNSの情報過多に疲れたユーザーが、グループ機能やメッセージング型のサービスへ移る動きが強まっている。到達数を増やす発想だけでは届かない層が出てくるということでもある。どのSNSに力を入れるかの選定も、この揺り戻しを前提に見直す価値がある。
確実視されている5つの動きと、不確実な5つの変化
予測は、確実視されている動きと、不確実な動きに分けて扱う。分けずに並べると、確度の低いものに投資してしまう。まず、すでに兆しが観測できている5つから優先的に手を打つ。
| 確実視されている動き | 内容 |
|---|---|
| AI生成コンテンツの規制強化 | 各国で表示義務化が進行。2025年時点で日本でも表示義務の運用が始まり、対象範囲が今後広がる。画像・動画・音声すべてが対象になる流れで、広告だけでなく通常投稿にも適用が拡大する可能性がある |
| 短尺から中尺動画への回帰 | 15〜45秒の短尺が主役だった時代から、1〜3分の中尺が再評価される兆し。解説系・ノウハウ系で中尺の優位性が見え始め、完全視聴率からリピート視聴・滞在時間へ評価軸がシフト中。短尺と中尺を組み合わせる二段構成が次の標準になる予測 |
| パーソナライズ精度の向上 | 同じ投稿でも届く相手が違う現象が強まる。フォロワー数より関心軸の一致度が効き、ニッチなテーマほど刺さる層が明確化する。ターゲット解像度の高い運用者が有利になる |
| インフルエンサーマーケのROI重視転換 | フォロワー数頼みの起用から、実売上・実エンゲージメントベースの評価へ移行。マイクロインフルエンサー活用が増え、フォロワーとの関係の濃さが指標化される。広告表記の徹底が起用の前提に組み込まれる |
| 閉じたSNSへの回帰 | グループ・コミュニティ機能・メッセージング型SNSの利用が増加。LINE公式アカウントの活用が再加熱し、DMやストーリーズの返信を起点にした関係構築が標準化する |
①不確実な変化のうち、確度が高いのは1つだけ
言われていることと、実際にどうなるかは別物である。影響は大きいが確度が読み切れない変化を、確度つきで並べると次のようになる。
| 動き | 確度 | 影響範囲 |
|---|---|---|
| 生成AIによる自動投稿の一般化 | 中 | 運用工数の構造変化 |
| プラットフォーム再編 | 中 | 主要SNSの入れ替わり |
| 検索SNSとしての利用増 | 高 | SEOとの境界が消える |
| ライブコマースの本格定着 | 中 | EC連携の標準化 |
| ブロックチェーン連携 | 低 | クリエイター収益化の変化 |
確度が「高」と付いているのは、検索SNSとしての利用増の1つだけである。つまり5年以内に確実に取り組む必要があるのは、検索される投稿設計のほうだ。残る4つは、兆しが確認できてから投資判断を切り替えればいい。
②予測は根拠とセットで持ち、崩れたら取り下げる
予測を根拠なしに持つと、外れたときに取り下げる判断ができない。根拠が崩れたら予測も取り下げる、という運用ができる状態にしておく。
| 予測 | 根拠 |
|---|---|
| AI規制強化 | 各国の法整備が同時並行で進行中 |
| 中尺動画回帰 | 滞在時間指標の重み付け強化 |
| パーソナライズ精度向上 | 推薦システムへの投資継続 |
| ROI重視転換 | 広告主側のリテラシー向上とステマ規制 |
| 閉じたSNS回帰 | オープンSNSの情報過多疲れ |
いま準備しておくべき6項目と、投資判断の切り替え方

予測を眺めるだけでは何も変わらない。5年先に効く仕込みは、いま着手できる作業に落ちている。ここに挙げる6項目は、どれも今日から手を付けられるものだけを選んでいる。
①5年先に効く6つの仕込み
- AI生成コンテンツの表示ルールを社内で文書化する
- 中尺動画(1〜3分)の制作テンプレートを試作する
- フォロワー数より関係性を測るKPIを導入する
- マイクロインフルエンサーとの継続関係を作る
- LINE公式アカウントとの導線設計を見直す
- 検索されるSNS投稿の設計(タイトル・キャプション)を強化する
この6つは、四半期ごとに見直す運用サイクルに落とすと続きやすい。表示ルールは投稿フローのチェック項目に組み込む。中尺は1本だけ試作して、短尺との二段構成でテストする。関係性を測るKPIは、まず1つ決めて計測を始めれば足りる。
②「来そう」「兆しが見えた」「来た」で投資を切り替える
予測は外れる前提で読むのが正しい。過去10年でも、BeRealが標準になる、メタバースが主戦場になるといった予測は外れた。来そうな動きと、実際に来た動きを区別し、確認できた段階で投資判断を切り替えるのが現実的である。
| 段階 | 判断 |
|---|---|
| 来そうな動き | 情報収集と小さな試作に留める。既存運用のリソースは削らない |
| 兆しが観測できた動き | テスト枠を設けて検証する。判断材料を自社データで作る |
| 来た動き | 本格投資に切り替える。運用設計を書き換える |
③予測に振り回されたときに出る失敗パターン
- 流行りの新機能を全部試して、軸が定まらない
- 中尺動画を試そうとして、短尺の蓄積を捨てる
- AI自動投稿に頼り、ブランドの人格が消える
- 「閉じたSNSが来る」と言って、既存SNSの運用を止める
- 過去の成功体験を引きずる(2018年頃のハッシュタグ30個を今もやる、いいねキャンペーンで反応数を盛る、他プラットフォームからの動画転載を続ける)
あわせて、10年史からの振り返りとして次の5点を点検しておきたい。2024年の保存・シェア重視への転換に対応できているか。2025年のステマ規制法に運用フローが準拠しているか。AI生成コンテンツの表示ルールを社内で共有できているか。動画比率を全体の半分以上に引き上げられているか。外部リンク誘導に依存していないか。
よくある質問
①予測トレンドのうち、どれから手を付けますか
確実視されている5項目(AI規制強化・中尺回帰・パーソナライズ精度向上・ROI重視転換・閉じたSNS回帰)から着手する。不確実な変化のうち確度が高いのは検索SNSとしての利用増だけなので、そこまでを射程に入れれば十分である。
②短尺をやめて中尺に切り替えるべきですか
切り替えではなく二段構成にする。短尺と中尺を組み合わせる構成が次の標準になるという予測であって、短尺が消えるという話ではない。中尺を試すために短尺の蓄積を捨てるのは典型的な失敗である。
③予測が外れたらどうしますか
外れる前提で読む。過去10年でもBeRealが標準になる、メタバースが主戦場になるといった予測は外れた。来そうな動きと来た動きを区別し、確認できた段階で投資判断を切り替える。予測に飛びついて足元の運用が崩れるのが最悪のパターンである。
確実なのは1つだけ、「変化が早い」という事実である。だからこそ、読み方の型と、10年動かなかった軸を手元に持っておく。